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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

1month after+1day













雲雀さんの眠り姫(仮)事件から一日たったある日のこと。



俺は見たかったドラマがあるのを理由に珍しく一人で帰っていた。結局、雲雀さんの眠り姫には会えなかったが、俺はディーノさんほど眠り姫を見たかったわけじゃないので、昨日の騒動のことはすっかり頭の隅に追いやられ、頭の中はドラマの続きでいっぱいだった。
いつもより早足で慣れた道を歩いていると、ふいに向こうからこっちに向かってくる女の子が見えた。




――― 基本的に、俺は京子ちゃんとか知り合い以外の女の子にはそんなに意識を向けない。


けど、俺はその女の子を見ただけで凄く気になった。
その子は住宅街では場違いな格好をしていたからだ。
女の子は制服や私服ではなく、何故か病院の寝巻を着ていた。病院から抜け出してきたのか、長い病衣の裾から覗く足はアスファルトで汚れるのも構わず裸足のままだ。ふわふわした長い髪を揺らし、何かに警戒しながら必死の様相で走りながら、周りを気にしていた。何かあったんだろうか



「…あの、……どうかしたんですか?」



どうすべきか分からず、とりあえず俺は声をかけてみた。もし病気なのに病院から抜け出してきたのなら一大事だし、何より彼女の様子が気になる。まるで何かから逃げているみたいだ。だが彼女は俺を見て、息の切れた声で「何でもありませんっ」と一言言い放ち、足を止めることなく警戒を解くことなくその場を走り去っていった



「…………。」



彼女の必死な後ろ姿をなんとなしに見送っていると、次の瞬間、後ろ頭に強い衝撃と痛みが走った






 ド ガ ッ ッ ! !





「~~~っっぃいっっ、た~~~っっ!!」

「何ボ―ッとしてる、このダメツナ」



この容赦ない蹴り、この暴言。いきなりこんなことする奴は、俺は一人しか心当たりが無い。
眼がチカチカして頭がずきずきする中、俺はなんとか声を張り上げた



「いきなり何すんだよリボーンッ!!」



キッと睨み付けた先には2頭身ほどのスーツ姿の赤ん坊。俺の家庭教師であるリボーンがいた。だが相変わらずリボーンは自分が悪いと全く思っていない ― それどころかむしろ俺が悪いと言わんばかりの ― 態度できっぱりとこう言った



「うるせぇダメツナ。お前こそ何してんだ。あの女、あの様子で何でもないわけねーだろーが。さっさと追いかけろ」

「で、でも」

「“でも”じゃねぇ。さっさと追え」

拳銃を突き付けてそう命じるリボーンに、俺は慌てて彼女の後を追いかけるために地面を蹴った。






























++++++++++++++

















彼女の走っていった方向に走ったは良いが、彼女の姿は見当たらない。
さっきの角で曲がったのだろうか。そう思って一つ前の角まで戻り、もう一度見渡す

と、



いた。



病院服の女の子だ。

彼女は電柱の影に寄り添い、隠れる様にして辺りを慎重に見渡している



「………あのぅ、」



後ろから恐る恐る声をかけると、彼女は過剰なまでに肩を震わせた後、勢い良く俺に振り返った。警戒心むき出しのまま彼女は頑なな表情で俺を見つめてきた



「……何ですか?」



声もどこか強ばっている、と言うかかすれている。やっぱりどっか悪いんだろうか、心なしか顔色も悪い気がする



「え、えーと………」


声をかけたは良いが、言葉につまる。何を話せば良いんだろう。とにかく何か話そうとするが何も言葉が出ず、気まずい沈黙ばかりが流れていく



「あ、あの、大丈夫ですか?具合、悪そうですけど……」



なんとか出た言葉にホッとしつつ、俺は改めてその女の子を見た。



見たことの無い顔だった。

俺は雲雀さんみたく(並森で)顔が広いわけではないが、近所の人くらいは分かる。多分この住宅街の人じゃないんだろう。
俺と同じくらいの身長に、黒い瞳と黒い髪。歳は俺より年上だろうが、多分ビアンキより下だ。いや、どうだろう。化粧をしていないから幼く見えるだけかもしれない。テレビなんかで見る女の人の化粧を落とした後の顔はまゆがなかったり別人だったりするが、この人は普通だ。多分10代後半から20代前半くらいだろうか



「……別に、悪くないです。気にしないでください」

「や、でも、その格好……」

「ほっといてください」



そう言って彼女は俺から距離を置こうとした。が、勢い良く俺の腕を掴んだかと思うと、そのまま電柱から飛び出し塀の角まで走り俺を引っ張りこんだ



「う、わっ!!」

「しっ、黙って」



俺の口元を押さえながら、彼女は塀を盾にそっと道を覗き込んだ



「………。」



彼女はそのまましばらく険しい目つきで睨んでいた。それを見て俺もそっと通路を覗き込んだ。彼女の視線の先には黒いスーツとサングラスをかけた男たちが歩いていた。見るからに怪しく、何よりも怖そうだ。男たちは何かを探すように慎重に周囲を見渡しながら歩いている。そして手に持った何かを確認しながら二、三言話し合いながら、そのまま歩いていった



「………。」

「………。」



その様子を確認した彼女は俺から手を離し、男たちが向かった方向とは逆に体の向きを変えた。そしてそのまま走りだそうとした



「……ぁっ!!」



それを見て反射的に、と言うか、気が付いたら俺は彼女の腕を掴んでいた。









そして、掴んだ瞬間に感じた衝撃は、何故か違和感だった。












――― ん?










前にもこんなことあった気がする。









――― 今みたいに誰かが俺から離れようとして、俺はその腕を、掴んだ?








何だろう。いつだろう。誰だったっけ?思い出せない。


デジャブと言うやつか、既視感と言うやつか。

覚えが無いのに、記憶がある。












―――――― わからない


























「離して」





ポツリと呟いた彼女の声に、俺は我に返って慌てて彼女の腕を離した



「あ、あの、すみません。えっと………」

「………。」



彼女は更に警戒心を強めた眼で俺を見ていた。これ以上関わっても不安を煽るだけかもしれない。



















…………、でも。







俺は意を決して彼女に向き合った



「……あの、う、うちに来ませんか?よかったら」



そう言うと、案の定彼女は眼をパチパチとさせて、胡散臭げに俺を見て、思わずと言わんばかりに呟いた



「………は?」



彼女が次に何を言おうとしているのか分からなかったけど、怯えさせたいわけでも困らせたいわけじゃない。俺は必死になって彼女の警戒を解こうと躍起になった



「だ、だって追われてるんですよね?よく分かんないですけど」

「、貴方には関係ありません」

「そ、それはそうですけど………。そ、それにその格好だと目立ちますし、風邪引いちゃいますよ」

「………。」



そうなのだ。別に冬の真っ只中と言うわけではないし、ものすごい寒いわけじゃない。だが、彼女は病院服一枚と大変な薄着である。風邪を引いてもおかしくないと思う。俺の言った言葉にその通りだと思ったのか、彼女はそのまま無言になった。どうやら検討してくれているようだ。










と、その時だった。











―――――――― ポツ、ポツ――――――――

















僅かに冷たい感触が頬に触れた。慌てて上を見上げると、――― 雨だった。







いつの間にか空は黒い雲に覆われていて、いつものこの時間より暗く感じた。雨はまだ小雨だがもっと酷くなるかもしれない。その雨が決定打になったらしく、彼女はポツリとこう呟いた。






「…、おじゃましても、いいですか」



















+++++++++++++++




































「ただいま~……」

「…お邪魔します」



恐る恐る家のドアを開けて、中の様子を伺う。母さんの声は、ない。ついでに誰もいないのをこれ幸いにと、急いで彼女を俺の部屋にあげた。(いや、別に後ろめたいのではなくて説明が面倒だし、詮索されても困るからだ)とりあえずタオルと………服か……、サイズ的には俺のが良いだろうけど(女の子だから)着ないだろうし、とりあえず母さんの服でいいだろうか。ビアンキの服はサイズ合わなさそうだし(と言うかビアンキの服を勝手に持ち出したら確実にポイズン・クッキングの餌食になると思う)。部屋に戻ると女の子が借りてきた猫のように座っていた



「あ、あの、これで拭いてください。あとこれ、母さんの服ですけど」

「………どうも」

「じ、じゃああの、鍵かけて着替えててもらっていいですか」

「…はい」



頷く彼女をそのままに、今度は飲み物を取りに行く。と、テーブルに母さんの字で“買い物に行ってきます”と書き置きがあった。………傘は持ってっているのだろうか。
冷蔵庫にあったジュースとコップを盆に乗せる



















「――― ママンがいないのを良いことに、ナンパした女連れこむたぁやるじゃねーかダメツナ」










いきなり聞こえた声に驚いて、思わずお盆を落としそうになった



「リ、リボーンッッ!!脅かすなよっ!!てゆーか人聞き悪いことゆうな!!」



声の聞こえた方に怒鳴り付けると、案の定リボーンがいた。毎度のことだが今の今までいなかったのに、どこから現れるんだろう。当のリボーンは面白いおもちゃを見つけたと言わんばかりににやにやと笑っている



「何怒ってんだ。俺は何も間違ったこと言ってねーぞ」

「だっ大体、彼女を助けろって言ったのリボーンだろ!!」

「誰も“助けろ”なんて言ってねーぞ。俺は“追え”って言ったんだ。なのにまさか家に連れ込んで服脱がせるなんざ………」

「ぬ、脱が………っっ!!?着替えてもらうだけだろっっ!!?だっ、だってあの人追われてるみたいだったし!!ほっとけないだろ!!雨だって振ってきてたしっっ!!」

「お前もマフィアのボスとしての自覚が出てきたみてぇだなぁ」

「だーかーらっ!!マフィアのボスにもならないし!!そんなんじゃないんだってばっっ!!」



からかうリボーンを無視してお盆を持ち直し、部屋に向かう。そしてそれと同時にじわじわと緊張してきた。リボーンが変なこと言うからだ。別にやましい気持ちなんか何もない。でも、彼女からすればそうとう怪しかっただろうことは想像がつく。あの時はただただ彼女が心配だったから言ったのだが、今さら不安になってきた。嫌だなぁ……、彼女もそういう誤解をしているんだろうか………
部屋の前に立つと、一旦深呼吸してから扉を開けた。中には着替え終わった彼女がやはり大人しく座ったままだった



「………。」

「え、えーと、どうぞ」

「…、ありがとうございます」



とりあえず盆を机の上に乗せて、飲み物を勧める。彼女は軽く頭を下げてコップを手に取った



「………。」

「………。」





ち、沈黙が重い




「…あ、あの俺、沢田綱吉って言います」

「………。」



じぃっとこっちを見てくる彼女の視線に居たたまれなくなる。

でもそうだよな~…、怪しいよな俺。初対面でいきなり女の子家に誘うとか今思い返すと普段の俺ならあり得ない。京子ちゃんですら誘えないのに……。でも病弱そうな女の子が追われてるのにほっとくのも………















「……、ありがとう、ございます」



と、目の前の彼女のことも忘れて一人悶々と考えていると、ポツリとそんな声が聞こえた



「服とか。雨宿りもさせてくれて」

「あ、いえそんな」

「お家の方とか、大丈夫ですか」

「あ、いや全然っ。こっちこそいきなり誘ってすみませんっ」



ジュースを飲んだおかげか、彼女の声のかすれは大分良くなったみたいだった。警戒ばかりしているからか暗い雰囲気というか取っつきにくい感じの彼女だったが、声は澄んだようと言うか、高く綺麗だった



「服は、必ずお返ししますので」と、呟く彼女の声と同時に部屋の扉が勢いよく開いた
















 バ ア ァ ン ッ ッ ! !








「なはははは~~っっ!!殺し屋、ランボさんとうじょ~うっっ!!」




俺はビクッとして勢いよく後ろを振り替えるといつものようにテンションの高いランボがいた。今の今まで外で遊んでいたのか全身ずぶだらけの泥だらけだ。














………………………、なんかやな予感………。




と、案の定、ランボは俺の方を見て何か投げ付けてきた



「死ねツナ~~ッッ!!」



投げ付けられたのは、お約束の手榴弾だった。


俺が「げっ」と声を引きつらせ彼女を庇おうとしたのと、誰かに頭を引き寄せられたのはほぼ同時だった。
















―――結論から言うと、彼女も俺も、俺の部屋も無事だった。



ていうか彼女を庇おうとした俺は、彼女を庇うことも出来ずに勢いよく頭をひっぱりこまれて終わっただけだった。
そして何故か俺の目の前は真っ暗だった。頭も強く押さえ付けられていて、上手く動かせない。


なんとか目線だけを動かすと、野球ボールが通過したみたいに割れた窓ガラスが見え、そこから外に飛んでいった手榴弾が爆発するのが目の端に映った。どうやらランボが俺に向かって投げた手榴弾を、誰かが軌道を変え外に飛ばしたらしい。リボーンだろうか?



外とは言え、近くで手榴弾が爆発したのだからいつものように酷い火薬の臭いと煙の臭いがするのかと思えばそれもない。それどころかむしろ微かに花みたいな匂いが………。手を動かして、目の前の視界を覆っていたものを除ける。真っ暗だった視界は黒から少しずつ肌色へと変わった。



















―――――― ん? は だ い ろ ?



ちらりと目線を上に向けると、病弱そうな女の子の首筋が見えた。




まて、おちつけ。どういう状況だこれは。
























……………。













………………………………………。















「―――――― 、~~~~っっっ!!!?」



いまいち状況が掴めなかったがやっと呑み込んだ。俺は見知らぬ女の子に頭を抱えられ、爆発から守られていた。









――― つまりこの目の前のあったかくて柔らかい感触は………。







決して小さくはない女の子の胸に顔を押しつけていると気付いた時、頭が沸騰するんじゃないかと思うくらい熱くなった。そして鼻の奥も熱くなってきた。タラタラと鼻になま暖かいものが伝っている感触と共に、俺の鼻血の鉄くさい匂いがした









「…ぇ、大丈夫?ねぇちょっと!?」と言う彼女の動揺した声が僅かに聞こえる中、俺は意識を手放した。



















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  1. 2012/02/28(火) 14:16:09|
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