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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

1month after+2day












~scene:並森中学校風紀委員室もとい応接室~







「―――どういうこと?」



その抑揚の無い静かな声に、一気に部屋の空気が重くなる。並盛の中でも指折りの実力者達である並盛の風紀委員達が整列し、こぞって滝のように冷や汗を流している。その様子はまさしく蛇に睨まれた蛙そのものだった。目の前の絶対者に睨まれ凄まれ、そのまま気を失えればどんなに楽だったか。しかしそんなことをすれば気を失うどころか二度とこの世の風景は見られないだろうと簡単に予想がついていた風紀委員のメンバーは、今すぐに逃げ出したい足を必死にその場に留まらせていた。



「――あの怪我人がいなくなった?逃げたってこと?」

「も、申し訳ありません。見張りは完璧だったはずなのですが………」

「言ったよね?あの怪我人を“逃がさず、死なさず、意識を取り戻したら僕に知らせるように”って」

「は、はい………っ」

「―――なのに、いなくなった?」

「……………っっ!!」



またたきもしない間に、風紀委員の一人が吹っ飛ばされ、風紀委員室の壁にものすごい音をたてて激突した。たかが一撃、されど一撃。たった一撃くらっただけのその風紀委員は壁に激突する前に意識を飛ばしていた。血塗られたトンファーを握り、まるで何事もなかったかのようにそこに立つ風紀委員長に、全ての風紀委員達の恐れが頂点に達していた。



「……、!!そっそう言えば、あの病室に跳ね馬が来たそうです!!」



まだ質問されても、何も言われていないにも関わらず、身の恐れを感じた一人の風紀委員が悲鳴をあげるかの様に、命乞いをするかのようにひきつった声でそう叫んだ。その言葉に、トンファーを構えようとしていた風紀委員長の手がピクリと反応した。



「―――あの怪我人の病室に?あの人が?」

「は、はいっ。病院の関係者の証言からすると、おそらくは………っ、で、ですからもしかすると跳ね馬が彼女を連れ去った可能性も………っっ!!」

「―――――………ふ~ん………。」




どうでもいいとばかりに返事をした風紀委員長は、そのままトンファーをしまい、自分の愛用しているふかふかの椅子に深く座り込んだ。そして憂いた眼で夕暮れの並森の風景を見やった。







「探して」





















ぼそりと、つぶやかれた言葉。

しかしその言葉はそこにいる全ての風紀委員に死刑判決でも下されたかのような衝撃を与えた。




「―――探して。あの怪我人。並森から出るための移動手段、道路・各駅・空港も港も全部探して見つけだして」







風紀委員長は思う。

並森の秩序・雲雀恭弥は空を睨む。















―――――逃がさない。それでは何の為にあの死にぞこないを助けたか分からないじゃないか。

あの女には聞きたいことがあるんだから




















「――――絶対に、首を切り落としてでもここに連れてきて」


それを言うなら『首を切り落として』ではなく『首根っこ引っ掴んで』ではとか、首を切り落としたら聞きたいことも聞けなくなるのではと言う突っ込みは、今の機嫌最悪な委員長を相手に出来る者は風紀委員会に一人もいなかった


























~scene:黒曜ヘルシーランド跡地~















「………どういうことですかね?」


クローム髑髏は響いた声に瞳を開いた。眼を開いた彼女の眼球に映るのは、彼女の絶対・彼女の神の姿。別にクロームに声をかけたわけではない。しかし、命令がない限り、彼女が彼の言葉を聞き洩らすことは絶対にあってはならないのだ。



「……………骸様………。」

「一ヶ月前、何故か僕は並森に入れなかった」


物思いに耽る、その姿さえ、不気味で美しい。血のように真っ赤な夕日の光を浴びて、六道骸は思考している。その瞳は外を向いているが、その景色は見ていない。もっと遠く、肉眼では見ることの出来ない様なもっともっと遠いところ。彼の眼に何が映っているかまでは分からなかったが、クロームには彼の目線の先に有る町がなんという町かは知っていた。――― 並森町。



「たった7日、たった一週間とはいえ、この僕という存在を拒絶できるほどの強力な結界を張れる存在が、あの時、並森に居た」



そう。一か月前、その異変に気付いたのは紛れもない六道骸本人だった。
何をやってもどうあがいても、六道骸は完全に並森から拒絶されていた。肉体はおろか電話も、精神も、そして彼の仲間であるクローム達も、六道骸に関する属する通ずる全てが、あの時の並森に拒絶されていた。あの時の六道骸は酷かった。八つ当たりで殴られている犬が死ぬのではと思うほど、幻覚の修行と言う名のフランへの精神的暴力であのマイペースなフランが幻覚汚染にでもなるのではと思うほど、六道骸は不機嫌だった。自身の存在の拒絶など、自身のプライドを害されるようなものだ。誇り高い六道骸にとって、それは決して許されない侮蔑だった。




「あの時と同じ気配がすると六道の瞳が告げる。あの時の結界の主が今再び、並森にいると」




だが、今の骸は復讐の眼をしていない。いや、どちらかというと狩人の眼だ。クローム髑髏は思考する。自分の主の思考がいかなるものかを思考する。彼の望みを、目的を思考する。殺害か、見せしめか、倍返しか、あるいは―――




「―――捕らえましょう」




仲間に取り込めるなら良し。そうでなければ第二の操り人形ランチアになってもらいましょうか。そう言って不敵に微笑んだ六道骸に、クローム髑髏はただ簡潔に、「はい。骸様」と答えた









































~scene:特殊暗殺部隊ヴァリアー本部~









「―――暗殺の依頼だぁ?」



どこか胡散臭そうに、依頼の証である書類を掌でもてあそびながら、スクアーロはつぶやいた。マフィア社会において、暗殺など日常茶飯事である。そんな世の中に、いや、そんな世の中だからこそ、世界には数多くの殺し屋が、暗殺部隊が存在する。そして数ある暗殺部隊のトップに立つであろうヴァリアーに、そんな暗殺依頼が届いたのは午後の0時を回った頃だった



「そう、しかも匿名希望の依頼人から」



書類を配り終わったマーモンがこくりと頷く。別に依頼者が匿名だから不思議だ、と言うことは此処ヴァリアーではない。暗号化している依頼書も、語学力がなければ読み解くことも出来ない様な書類も、ヴァリアーでは日常茶飯事であり珍しくともなんともない。スクアーロが疑問に思ったのは、依頼人の名前とかそんな細かいことではないのである。暗殺者にとって、暗殺する対象も、暗殺を依頼してくる顧客も、どうだっていいことだ。暗殺者にとって、暗殺は仕事。ゆえに、報酬を貰うことが出来ればそれでいいのだから。しかし、この道十数年のスクアーロでも、その依頼書は疑問だらけ・不可解だらけの内容だった。



「たかだか一人殺す為に、ヴァリアー全員引っ張り出すなんざどーゆーつもりだぁ。しかも対象の名前も顔も不明だと?馬鹿にしてんのかぁ。」

「でも前金はもう振込まれてるんだよね。しかも破格の料金だよ」

「あらぁ、どのくらいなのぉ?」

「―ピー―の国家予算しのげるくらい」

「シシッ、はした金じゃん」

「額がどんだけ凄かろうとな、対象が分からねぇのにどうやって殺せってんだ。バカにしてるとしか思えねぇ」

「だから、資料見たでしょ。ちゃんと対象を判別するための道具もあるんだよ。それを使って…」

「いちいちそんなもん確認して殺せっての?めんどくさいの俺ヤダ」

「今回の件を片付けたら、報酬は思いのままだってさ」

「そんなのに釣られるのはお前だけだ。この守銭度め」

「じゃあレヴィは一文もいらないんだね。分かったよ」

「そうは言っておらんだろう!!」










ぎゃあぎゃあと、いつものように話が脱線していく。重要なはずの書類が引き裂かれ、紙飛行機にされ、丸め捨てられていく。そんな中、一番重要である書類が、幹部に配られた書類には書いていなかったことまで書いてあった分厚い書類が一瞬にして燃え上がった



















「―――――――――――。」








蝋燭のみで照らされていた薄暗い部屋の中が、一瞬で明るく照らされた。それを見て幹部の全員がぴたりと動きを止め、口を閉ざし、自分達の頭であるその紅い瞳の青年を見つめた。(ただ、「ああ゛ぁ゛っ!!てめっ、何燃やしてんだぁっ!!」と言う大声があげられようとしたが、その前に陶器製の灰皿を脳天に受け、強制的に沈黙させられた)

































「―――――― 依頼人は匿名希望。対象は不明。だのにジジィはこの仕事を回してきやがった。キナくせぇヤマには変わりない、が」

























「―――――――――――― 退屈しのぎにゃ、丁度いい。」













その一言で、ヴァリアーの方針は決まった。













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  1. 2012/03/01(木) 14:47:12|
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