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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

そして物語の准章は愛し子への品を譲渡する

准章~愛し子シリーズ~の始まり











殺生丸様が久しぶりにりんちゃんに会いに行くことにしたらしい


勿論、殺生丸様が行くのだから私も神楽ちゃんも着いて行く。








が、りんちゃんたちの村に行く前に、私たちにはやるべきことがある―――























「…………。」





どれがいいだろう。



殺生丸様と共に、私たちは商いの場に来ていた
商いの場には色んな店があり、私たちは染め物屋の前で着物を物色していた。殺生丸様はここでりんちゃんへのお土産を買うつもりらしい。
どうやら、私が思っていたより、殺生丸様はりんちゃんを可愛がっているようだ。

ちなみに邪見様はいない。
小鬼である邪見様は見ただけで妖怪だと分かる容姿のため、村外れで置いてきぼりを食らっていた。まぁ確かに、人間の商いの場に妖怪が来たらその場はパニックになるだろうから仕方がないよな。それこそ、おちおち買い物も出来やしない



殺生丸様が足を止めた店の中では、綺麗な反物や着物がズラリと並んでいる。まず色んな柄を見ている神楽ちゃんとは対照的に、私は並べられた沢山の着物に目移りしながら、りんちゃんに似合いそうなものを片っ端から広げていた



「神楽ちゃん、これどうかな?」



白い蝶があしらわれた、橙色と黄色の着物を広げる



「あ、ねぇねぇ神楽ちゃん。これも可愛いよっ」



裾に飛び立つ蝶が描かれた赤色と桃色の着物を広げる
広げた二つの着物を両手に振り返った私をしげしげと見て、神楽ちゃんは静かに口を開いた



「とりあえず神威、蝶から離れろ」

「えぇ~~?いいじゃない。可愛いでしょ?」

「そう言う問題じゃねぇ。て言うかお前それ、自分で着たいと思ったヤツだろ」

「りんちゃんにだって似合うと思うんだけどな~~……。あ、そうだ。私と神楽ちゃんと両手にりんちゃんで同じ柄の買おうよっ」

「絶対着ねぇ」

「赤色系なら三人とも合うよね~」

「聞いてんのかてめぇ」

「え~?じゃあ神楽ちゃんはりんちゃんへの着物どれが良いと思う?」



そう尋ねると、神楽ちゃんは店の中を見渡した



「…そうだね……。……この着物なんか、りんに合うんじゃねぇか」

「それはもうやった」



神楽ちゃんが鞠の柄の入った藍色の着物を手に取ると同時、後ろから殺生丸様が現れた
何も持っていないところから察するに、どうやら目ぼしい着物はなかったらしい



「じゃあこっちの柄は?」



神楽ちゃんが花柄の淡い桜色の着物を手に取った



「似たようなものをやった」

「……じゃあこれ」

「色違いのものをやった」

「羽織」

「着物と共にやった」

「帯」

「もうやった」

「簪」

「もうやった」

「櫛」

「もうやった」

「鞠」

「もうやった」




「………。」



いつの間にか、神楽ちゃんは思いつくかぎりのお土産を口にして、殺生丸様はその全てに「もうやった」の一言で返していた
聞いている方は意味的飽和でも起こしそうな問答である



「……風車(かざぐるま)」

「もうやった」

「……下駄」

「もうやった」

「何ならやってないんだお前」



ついに神楽ちゃんがツッコんだ。じつにテンポが良い。まるで夫婦漫才のようだ


つーか殺生丸様、りんちゃんのこと可愛がってるなぁっ!!



「……神威、お前は何が良いと思う?」

「え?私?」



疲れたような、呆れたような声で神楽ちゃんに話をふられて、思わず戸惑う
少し考えてみるが、思いつく物は、殺生丸様が「もうやった」と言ったものばかりだった。それでも頭をフル回転させて絞りだしてみる



「……ま、万華鏡……とか?」

「は?万華鏡?」



あ~やっぱダメかぁ……。と、肩を落とそうとしたが、それは続いた神楽ちゃんの台詞を聞いて、途中で止まった



「万華鏡って何だ?」

「え、知らない?万華鏡」



頷かれて、説明しようとして少し焦る。万華鏡の説明ってどうすればいいんだろう



「え、えと、筒の中に小さい鏡がいっぱい張り巡らされてて、その中に紙とかキラキラしたビーズとかが入っててね~…」

「………。」

「で、筒を覗き込める穴があって、その穴を覗き込んで回して中にある動く柄を楽しむ遊び道具~~……って言うか……」



万華鏡を思い出しながら苦し紛れに説明する
神楽ちゃんは聞いてはくれているが、なんか“辛抱強く聞いてやってる”みたいな顔をしている



「……なぁ、言っていいか?」

「……どうぞ」

「言ってる意味全く分かんねぇ」



言われた言葉がグザリと刺さった。私、昔から説明苦手なんだよなぁ……、って言うか、万華鏡の説明なんかしたことないから分からない……



「えっとね、こんなの」



説明に困った私は、一つ思いついて転移術を使って実際の万華鏡を取り出し、神楽ちゃんに手渡した


百聞は一見にしかず。説明できないなら、実物を見せれば手っ取り早い


手渡された筒を、神楽ちゃんは物珍しそうに受け取った
そして、手を動かしながら四方八方から眺めている。

……最初からこうすればよかった



「……これが、万華鏡?」

「そう」

「どこに鏡があるんだよ」

「ここ。この穴の中」



指を差して、蝶柄の和紙に包まれた筒の一点をさす



「この中にねぇ……?」



そう言いながら、神楽ちゃんは片目を瞑って覗き込む
それを見て、私は遊び方を説明する



「中を覗き込んで、両手でくるくる回すの」

「ふ~ん」



言われたとおりに、神楽ちゃんが万華鏡をクルクル回す。回した瞬間、中に見える模様が変わったからか、神楽ちゃんの回す手が一度ピタリと止まった。が、すぐにまた回し始めた
そしてしばらくそのままゆっくり回し続ける



「………。」

「……ど、どう?神楽ちゃん」

「………で?」

「で…?って言われても……」

「これだけか?」

「うん。そうだよ」

「……ふぅ~ん」

「や、だってほら。変わっていく模様を見て楽しむオモチャだから……」

「……どうだ?殺生丸?」



万華鏡を覗き込むのをやめた神楽ちゃんは、そのまま殺生丸様に万華鏡を渡した。意外にも、殺生丸様はあっさり万華鏡を受け取った
まぁ案の定、受け取っただけで覗き込みはしなかったけど



「りんは喜びそうか」

「まぁ、りんなら喜ぶんじゃねぇの」

「え?ホント?りんちゃんこういうの好きかな?」

「や、なんとなくだけど。……ちなみに、こんなんどこで売ってんだ?」

「………さぁ~……。万華鏡は多分外国……、南蛮からの輸入品だろうからなぁ……」

「………。」



と、そこまで話して、上から殺生丸様の視線を感じてハッとした。慌てて殺生丸様に向き直る



「い、いかがでしょうか?殺生丸様」



殺生丸様は万華鏡を手にしたまま、何も言わず店から出た
そして、そのまま歩き始めて、商いの場からだんだん離れていく

万華鏡は返品されない



………あれ、採用?



「せ、殺生丸様。りんちゃんのお土産、それでいいんですか?」

「りんが喜びそうなものならば、いいだろう」



つまり、神楽ちゃんの意見を採用したらしい

何げに神楽ちゃんを信用しているんだなぁいやむしろ大好きだろ殺生丸様!!とか解釈する辺り、私も相変わらずだ









晴れた空
白い雲

そんな中、殺生丸様はただ進んでいく。




このまま行けば、明日にはかごめちゃんたちのいる村に着くだろう
あの村に行くのは随分久しぶりな気がする。かごめちゃんたちは元気だろうか?












――― 私は旅路を行く



神楽ちゃんと共に、殺生丸様に着いていく旅を















――― そして、物語の次幕は徐々に開きつつあった。



























********************


2013年2月から犬夜叉連載再開とのことで、急ピッチで書きました。
とりあえず連載再開まで溜め込んでいる妄想書ききれるように頑張ります


ちなみに万華鏡は江戸時代辺りに日本に来たらしいです
羽織は室町辺りに流行ったらしいですが、年代はもはやスルーしました

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  1. 2013/07/25(木) 14:38:35|
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