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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

そして物語の准章は愛し子のいる村へと舞い戻る










次の日の午後、私は殺生丸様と神楽ちゃんと共にかごめちゃんたちの村に辿り着いた

殺生丸様はわき目も振らずに楓様の家を目指している。心なしかいつもより早足になっている気もする
よほどりんちゃんに会うことが楽しみらしい
………なんだろう。今まであった自分の中の殺生丸様像が少しずつ変わりつつある気がする





その村の中を歩いている途中、子供たちが遊んでいるのを見て、思わず足を止めた
幼い子達が鬼ごっこや隠れんぼをしているのをみて、微笑ましくも懐かしく思った

特に、花いちもんめとか私のいた世界じゃもうほとんど見ないからな……。



「神威。何してんだ」

「――― え?あ、ごめん。何?」


ワンテンポ遅れてから、慌てて顔を向けると、神楽ちゃんが隣で呆れた顔をしていた



「殺生丸はとっくに行っちまったぞ」

「…うぇっ!?」



そう言われて、慌てて周りを見渡すが、確かに見慣れた後ろ姿がどこにもない
ちょっと見ているだけのつもりだったのに、私、いつの間にか夢中になって見てた……!?
それとも殺生丸様、そんなに早くりんちゃんに会いたかったのか……!?



「ご、ごめん神楽ちゃん……っ!!早く追いかけよう……っ」

「どうせりんのところだろ?別に急ぐ必要ないさ」



慌てて楓様の家に向かおうとしたが、意外にも神楽ちゃんは急いだ様子もなく怒った様子もなく、むしろ落ち着いた声で私を引き止めた
神楽ちゃんは、りんちゃんに……かごめちゃんたちに早く会いたくないのだろうか?

そういや以前、神楽ちゃんはりんちゃん達が相手だと戸惑ってたな
りんちゃんは無邪気に懐いてくるし、かごめちゃんたちは友好的だから、敵だった神楽ちゃんとしては関わるのに多少の躊躇があるのかもしれない



と、神楽ちゃんの着物の袖が揺れた


見ると、小さい男の子が神楽ちゃんの元に歩いてきてその袖をクイクイと引っ張っていた
どうやら、遊んでいた子達の一人らしい



「ねーねー。お姉さんっ」

「あ?」

「お願いがあるんですけどっ」

「お願い?」

「はいっ。」



そう言って、男の子は神楽ちゃんの手を小さな両手で掴んで、無邪気な笑顔で神楽ちゃんの眼を見た










「――― お願いしますっ。僕の子供を産んでくださいっ」



ピシリと固まった

神楽ちゃんが、ではなく私が、だ




……今、なんて?


今何て言った?この子


こんな小さい子が言うお願いだ
ありきたりだけれど「抱っこして」とか「高い高いして」とかそういうおねだりしてくるのかなと思っていたものだから、あまりの予想外の変化球に反応が遅れた



「……はぁ?」



神楽ちゃんも思いもしなかったプロポーズに流石に困惑したような声をあげた。聞き間違えのではないかと言わんばかりだ
私はと言うと、「あぁ、あの小さい子が殺生丸様だったら良かったのにな~…」とか、ちょっとした現実逃避を始めていた

が、男の子はそんな空気などもろともしなかった



「えっとっ、だからお姉さんに僕の子を―――」





ボカッ!!




いっそ無邪気なまでの満面の笑みだった男の子は次の瞬間、容赦無く頭を殴られていた
が、殴ったのは神楽ちゃんではない
私は反射的に男の子を殴った人の顔を見た






――― その顔を見た瞬間、感じたのは懐かしさだった


少し顔立ちは大人びたが間違いない





男の子の母親とおぼしき彼女は、珊瑚ちゃんだった




珊瑚ちゃんは私と神楽ちゃんの前にも関わらず、凄い剣幕で息子を叱りつけた



「全くあんたって子は!!誰にでもそんな言葉使っちゃいけないって何度言えば分かるのっ!!」

「だって父上が綺麗な人に会ったらこう言いなさいってっ」

「あの人の言うことを鵜呑みにしないっ!!」





………こっえぇ~~……



その迫力に、思わずあとずさった

どうやっても「久しぶり」とか言える雰囲気ではない



ひとしきり息子さんを説教した珊瑚ちゃんは少し慌てた様子で神楽ちゃんに向き直った



「ごめんね神楽っ。うちの人がこの子に妙なこと教えたみたいで……っ!!やめるように何度も言ってるんだけど……っ!!」

「あぁ……なるほどな……。」



珊瑚ちゃんのその台詞で、全てを悟ったように神楽ちゃんは納得したようだ
何だ、何を納得したんだ神楽ちゃん




(――― 中々お目の高い子供だね)



いきなり師匠の声が頭の中にこだました
相変わらず何の前触れもなく話しかけてくる

が、“お目の高い”とはどういう意味だろうか



(君には眼もくれず、女妖怪を口説きにいく辺りが。だよ)



うるさい。余計なお世話だ



いつの時代も、子供は素直で残酷である


















珊瑚ちゃんが息子さんを連れて帰ると、入れ替わるように一人の女の子が駆け寄ってきた



「神楽さーん!!」



遠目から見ただけでも分かる。りんちゃんだ
殺生丸様とは会えたのだろうか


走って近づいてくる彼女を微笑ましく見ていた私だが、段々を距離が縮まるにつれ、内心焦りが募った



………あれ、りんちゃん。背が高くなっている……!?



「久しぶり神楽さんっ」

「あぁ、久しぶりだね」



神楽ちゃんの目の前まで来たりんちゃんは想像していた以上に成長し、背が高くなっていた。少なくとも、私より背が高い



「………。」



何となくりんちゃんと並びたくなくて、気付かれないように後ずさる。そのまま、りんちゃんと話している神楽ちゃんの影に何げに隠れた。幸いにも、それに気付いた様子のないりんちゃんは神楽ちゃんと話を続ける



「りん。相変わらず元気そうだね」

「うんっ!!元気だよっ!!神楽さんも元気そうで良かった!!」



意外にも、神楽ちゃんは普通に話している。以前ほど居心地悪さと言うか、違和感は感じていないように見え、りんちゃんと楽しげに会話をしている



「それでね、神楽さんに合わせたい人が……っ」








「――――― 神楽っ!!」



りんちゃんの後ろから、聞いたことのない声がした

そっと神楽ちゃんの後ろから様子を伺うと、りんちゃんの隣に一人の青年がやってきた
中々顔立ちの整った、優しげな青年である


その青年を見た瞬間、神楽ちゃんは少し驚いたような声を上げた



「っ琥珀……っ!?お前、琥珀かっ?」

「あぁっ!久しぶりだな神楽っ」



どうやら知り合いのようだ
しかし、神楽ちゃんのこの驚きよう
ただの知り合いと言うわけではないようだった

そんな風に感じた所為か、なんだか場の雰囲気がシリアスというか、少し重たい感じになった気がした



「……生き延びてたんだな」

「あぁ。………神楽に助けてもらった後、殺生丸様や犬夜叉様たち……桔梗様にも助けてもらって、何とか生き延びることが出来たんだ」

「………。」

「でも、神楽にまた会えてよかった。りんから神楽が生きてるって聞いてから、もう一度会いたかったんだ」

「……あたしに?」

「あぁ、どうしても神楽に言いたいことがあって……」



なんだ、言いたいことって

まさか君まで神楽ちゃんに告白する気ではあるまいな琥珀君






どうやら先程の男の子の爆弾発言の所為で、頭が無意識にそっち方面に繋げたがるらしい
が、当然だがそんなはずはなかった










琥珀君は神楽ちゃんより大きな体を曲げて、神楽ちゃんに深々と頭を下げた













「あの時は、助けてくれてありがとう」


「………。」





………?


神楽ちゃんは、この子の恩人なのだろうか?
神楽ちゃんって、生前、奈落さんに命じられて悪いことばっかりしてたってイメージあるので、何か意外だ



「………。」

「それから、ごめん神楽。助けてもらったのに、俺は神楽に何もしてやれなかった……」

「……別に、あたしがしたくてやったことだ。あんたが礼を言うことも、謝る必要もないよ」

「いや、でも……っ」




「………。」











ススス……、と、足音を立てない様にしてその場から離れた











以前、神楽ちゃん達に何があったからしらないが、事情を知らない私はいないほうが良いだろう
根掘り葉掘り聞きたい気持ちもなくはないんだけど、さすがの私もそこまで無神経ではない



(――― 君も自重ということを覚えたんだね神威)



一人になって歩いていると、頭の中で、師匠の感慨深そうな声が聞こえた

だから、いきなり話しかけてくるな。つーか、人の思考を勝手に読むな



(あの女妖怪の代わりに、あいつらの経緯を教えてあげようか?)

(いい)

(遠慮しなくていいよ)

(いいってば)

(今のあの男、珊瑚とか言う女の弟だよ)






――― 弟?



言われた言葉に、ふと疑問がよぎった


ん?どういうこと?


珊瑚ちゃん=犬夜叉君の仲間=奈落さんたちと対立

なら、

珊瑚ちゃんの弟=神楽ちゃんの敵。では?



それなのに敵を助けて?
で、更に敵であるはずの殺生丸様たちにも助けられて……?



……駄目だ、相関図がさっぱり分からない




(興味が湧いた?)


(………。)



何か師匠の話術にはめられている気がする……



(ついでに、あの弟くんは一時期、殺生丸にも飼われてたんだよ)

(“飼われる”って師匠…ペットじゃないんだから……)



て言うか殺生丸様が?

人間嫌い(らしい?だった?)の殺生丸様が、りんちゃん以外の人間の同行を許すなんて、意外だ
でも、犬夜叉君と殺生丸様って仲悪いんじゃなかったっけ?
珊瑚ちゃんの弟なら、普通、犬夜叉君達と旅をするものじゃないだろうか
なのに何で犬夜叉君たちじゃなく殺生丸様に同行したの?(いやまぁ二人が仲悪いからって、他の仲間の皆まで仲悪くなる必要もないけど)





………駄目だ。頭がこんがらがる


まさか師匠、私をからかう為に嘘ついてるんじゃないだろうな……



(僕が君に嘘をつくわけないだろう?)

(どの口が言う)

(ははは。まぁ、前置きはそのくらいにして)



前置きって……。



(いいから聞きなよ。少し面白いことになっているからね。教えに来てあげたんだよ)

(面白いこと?)

(とりあえず、あの楓とか言う巫女の家に行きなよ。そうすれば分かるから)







何だろう。また何を企んでいるんだろう









疑心暗鬼になりながらも、私は師匠の言うとおり楓様の家へと足を向けた










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  1. 2013/07/25(木) 15:54:15|
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