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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

そして物語の准章は愛し子の修羅場に遭遇する

注意:がっつり琥りんネタ。殺生丸様マジお父さん

苦手な方はご注意ください
















「――――― 殺生丸様。」





そう言って琥珀君は正座したまま深々と頭を下げた







「お願いします。りんを俺にください」

「………。」





























…………。



師匠に言われるがまま、“陽炎(かげろう)術”を使い、匂い消しの外套を被り、ついでに気配も消して楓様の家に着いた
そして、外からこっそり中の様子を探ろうとした瞬間、聞こえてきたのがそれだった


状況が飲み込めずにいる私を置いて、琥珀君の隣で同じように正座をしたりんちゃんが、向かいに座っている殺生丸様に訴えている



「殺生丸様。りん、琥珀と一緒になりたいの」

「………。」



…………。



………え~っと~~……、


これは察するにアレ?

結婚前の顔合わせ?
いや違う。




――― これは俗に言う『お義父さん娘さんを僕に下さい黙れお前にお義父さんと呼ばれる筋合いはない』的なアレ!?




昨今……今どきでは稀にも見なくなった状況を飲み込み、不謹慎にも内心興奮しながら眼の前の光景に釘づけになった
必死に結婚を認めてもらおうとする二人の姿は、私の眼には絵にかいたように健気に映った



……にしても、始終無言無表情の殺生丸様が怖い……

ただ座っているだけのはずなのに、異様な威圧感がハンパない
殺生丸様は、頭を下げ続ける琥珀君を見たまま、しばらく無言を貫いていた
琥珀君は頭を下げたまま、辛抱強く殺生丸様の返事を待っている
りんちゃんも必死の様子で殺生丸様の眼を見つめている


………この沈黙が、嵐の前の静けさというヤツだろうか……

ありがちだが、思わず口に溜まった生唾を飲み込んだ









――― そして、しばらくして、やっと殺生丸様が口を開いた


が、心なしか(と言うか“思った通り”と言うべきか)、それはとても重々しく響いた






「――― りん。席を外せ」

「え?」

「琥珀と二人で話したい。席を外せ」

「でも……」



心配そうに、りんちゃんは殺生丸様と琥珀君を交互に見つめる
琥珀君はその視線に気付いたのか、少しだけ顔を上げてりんちゃんを見返した



「りん。大丈夫だから。殺生丸様と二人だけにしてくれ」

「琥珀……」

「必ず、殺生丸様に認めてもらうから。俺を信じて」

「……うん……。分かった……。」



琥珀君の確固とした言葉と瞳に促され、りんちゃんが席を立った
……大人しげな顔立ちだが、中身はなかなか男前な青年である







家の中は殺生丸様と琥珀君の二人だけになった

静まり返る家の中で、もう一度、琥珀君が殺生丸様に深々と頭を下げた



「――― 殺生丸様。お願いします。りんを俺に下さい」



殺生丸様は黙ったままだ

そして再び生まれる、耳が痛いくらいの沈黙





―――――………この沈黙こぉえぇ~~……


にしても、ホントにやること勇者だな琥珀君……っ!!


















「――― 黙れ小僧。貴様にりんの不幸が癒せるのか」



プリンセス・オブ・モノノケ!?



笑ってはいけないシリアスな場面だが、思わずツッコんだ
もちろん内心で、だが


そして、そのまま男同士の会話は続こうとしていた









(――― 神威、もういいよ。この場から離れて)

―――― は?

(いいから)



緊迫した雰囲気に飲まれていた私の頭の中で、師匠が強めの声でそう言ってきた
そして、そう言われて気付く



確かに、こんな真剣で大事な話を盗み聞きするのは良くないよな……



そう思い直して、慌ててその場から離れ、師匠に促されるまま急ぎ足で楓様の家から離れた



















たどり着いた先は、村から大分離れた小高い丘




と、着いた途端、頭の中で師匠が盛大に吹き出して、大笑いを始める気配がした
そのあまりのうるささに思わず頭を抑えて、師匠の笑い声をシャットダウンした


しばらくそうしていると、笑い疲れたような声が再び頭の中に響いた



(あ~、笑った笑った)



いつもと同じ声量にホッとしてから、頭の中の彼に文句を言う



(――― ちょっと師匠、いきなり話しかけてくるならまだしも、人の頭の中で爆笑しないで欲しいんだけど)

(あはは…っ、ご、ごめん……っ。だって……ははっ。我慢できなかった……っ)

(……とりあえず、笑うか話すかどっちかにして)



一応そう言ってみるが、当然師匠は聞きやしない

思い出し笑いをしながら、楽しそうに話し続ける



(見た?神威。あの殺生丸の苦虫噛み潰したような顔……っ!!)

苦虫?

――― 私には、いつも通りの無表情にしか見えなかった。異様な空気の重さは感じたけど




つーか師匠、笑いすぎでしょ



(だって笑うしかないだろあんな殺生丸……っ!!ホント痛快……っ)



悪気の欠片も無く、ケロリと不謹慎極まりない台詞をあっさり言ってのける師匠
……我が師匠ながら、相変わらず最低だ。いや知ってたけど


が、当然と言うか、師匠は全く悪怯れた様子はなかった



(もう笑い堪えるのに必死だったよ。でも君の中に隠れているとは言え、さすがにあの場で笑い転げたら殺生丸に気づかれかねなかったからねぇ)



………。



つまりそれはあれか。


師匠は私にあの場を見せたかったわけではなく、自分が見たかったからと

でも殺生丸様に気付かれたくなかったから、私を隠れ蓑に使ったと



あの場から私を遠ざけたのは私を諫めたんじゃなくて、笑いが堪えきれなくなったから心置きなく大笑いするためだったと、そういう事か






(……師匠、いい加減自分の娯楽の為に私を巻き込むのはやめてほしいんだけど)

(だってあの男、僕の気配に敏感なんだもの)



それは奈落さんの姿を使うからでしょうに。とか言っても、どうせ奈落さんの姿を使い続けるんだろうなぁ何せ師匠だし。

……とりあえず、今覗いてたこと殺生丸様にバレたら確実に殺されるだろうな……



(って言うか、何で誰もあの子達の結婚に殺生丸の承認がいるのかってツッコまないのかな?それも笑えるよねぇ)

(――― へ?)

(何だ。君もかい?)



少し呆れたような声に、一瞬意味が分からなかったが、考えてみれば師匠の言いたいことはすぐに分かった


………、そう言えばそうだな

普通、あぁ言うのはりんちゃんの親御さんにするものであって、別に殺生丸様の許可はいらないよな
師匠に言われるまで全く疑問に思わなかったけど

いつの間にか、殺生丸様=りんちゃんの保護者。的な構造が私の頭の中で成立していて、それを全く疑問に思わず受け入れていた



(――― ま、こんな時代だしね。死んだはずのあの子の命を助けたんだから、最後まで責任持って面倒見るのは助けた者の責務かもね)



何げにあっさりととんでもないことを言ってのける師匠

それはまさかりんちゃんのことか……?
殺生丸様の「あの子の不幸」と言う台詞からも察するに



(――― 『野盗に家族を殺され、そのショックで口も聞けなくなった。
人里で迫害を受けながらそれでも果敢に一人で生きていたのに、最後には人食い狼に噛み殺され短い生涯を終えた子供がりんだ……っ
生き返った後も人の中に馴染みきれず、妖怪の中でも生ききれない……。哀れで愛しい、健気な娘だ……っ』)



そんな芝居がかった殺生丸様の声で、どこぞの山犬の母親みたいな台詞を言うな



(『お前にりんが救えるかっ!!』)



だからもういいっつーの



悪ノリする師匠にツッコミつつも、りんちゃんの笑顔を思い出す

いつも無邪気に満面の笑みを浮かべているが、そんな辛い過去を背負っていたのか。……心根の強い子だ……


でもそれなら、殺生丸様がりんちゃんの親代わりと言うのは間違ってないんじゃないだろうか………
そもそも、あの場で誰もツッコまなかったってことは、殺生丸様も、自分はりんちゃんの保護者だと認めているようなものなのではなかろうか。って言うか、殺生丸様のあの発言はまさに娘を溺愛している父親そのものだろう





私のそんな思考を読んで、それがツボにハマったのか、師匠はまたケタケタと笑い始めた












――― だからっ、人の頭の中で大声量で笑うなっ!!













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  1. 2013/07/25(木) 16:13:42|
  2. 犬夜叉の世界|
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