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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

そして物語の准章は愛し子としてかどわかされる









………無事かなぁ。琥珀君……





村の方へ戻りながら、私は琥珀君の身を案じていた




あの殺生丸様に『りんちゃんをください』と正々堂々誠心誠意いえる度胸は認める
が、殺生丸様がそれに『はいどうぞ』と二つ返事をするなど、私にはどうしても思えなかった

いや、寧ろ、反対されるだけならまだ良い
一つ態度や対応を間違えれば、殺生丸様は容赦無く彼の首を吹っ飛ばすだろう



……ありうる。殺生丸様ならやりかねない



我ながら物騒な予想だとは思うが、それでも考えついてしまうのだから仕方がない
今はただ、彼が五体満足であることをひたすら祈るばかりだった






村の入り口に着くと、神楽ちゃんが双子の少女と鞠つきをしていた

……何げに子供に人気あるよな、神楽ちゃんって
そういや小さい女の子って、皆美人好きだしな……


私に気付いた神楽ちゃんが、女の子たちと別れて私のところにやってきた



「どこに行ってたんだよ神威。いつの間にかいなくなりやがって……」

「あ、ごめんね神楽ちゃん。ちょっと散歩をね……」



まさか不本意とはいえ、「琥珀君とりんちゃんが殺生丸様に結婚の承諾をもらおうとしてるところを盗み見てました」とも言えない……



苦し紛れにありきたりな言い訳しか出てこなかったが、神楽ちゃんは深くは追求してこなかった
そのまま村の中に向かって歩き始めたので、私も数歩遅れてその後を追った
そしてそのまま、神楽ちゃんは何でもなさそうな様子で口を開いた



「そう言えばお前、さっきあたしと話してた琥珀って男、見たか?」

「え?う、うん」

「その琥珀とりんが祝言をあげるらしい」

「へぇ~。祝言……。」



それはすでに先ほど聞いていたので、言われた単語を特に驚きもせずに復唱した



「それで……、琥珀君は無事……?」

「あ?」

「怪我してない…?手足はちゃんとついてた……?」



そんな私の発言を聞いて、何を言いたいのか察したらしい神楽ちゃんは、一瞬黙ったがすぐに冷静な声でこう言った



「………言っとくがな神威。殺生丸は承諾したからな」

「承諾………。」



琥珀君の怪我は治癒術で治せるレベルだろうか……。とか考えていた私は、言われた言葉を何も考えずに繰り返した





が、復唱した言葉の意味を理解した瞬間、思わず眼を見開いた



「――― ……承諾したっ!!?」

「あぁ」

「本当に!?」

「あぁ。ホントに」



声を荒げて慌てる私に、神楽ちゃんはうるさいとばかりに耳を抑えた



「せ、殺生丸様がっ!?良いってっ!!?」

「あぁ」

「……えぇ~……うっそぉ~~……」



口をあんぐりと開いて茫然とするが、それでも神楽ちゃんの態度は変わらない
その様子からして、どうやら真実のようだ(そもそも神楽ちゃんはそんな嘘をつかない)



「……信じられない……。殺生丸様がそんな簡単にりんちゃんをお嫁に出すとは思えないんだけど……」



別に神楽ちゃんを疑うわけじゃないが、あの溺愛っぷりを見た後では、どう贔屓しても信じられなかった。
が、耳から手を放した神楽ちゃんはあくまで冷静で、しかも逆の意見だった



「いや、そうでもねぇよ。殺生丸は何だかんだ言っても、りんが本気で嫌がることはしねぇし、りんに自分の都合を押しつけたりもしねぇから」

「…へぇ~……。」



よくご存知で



「でも殺生丸様、琥珀君のことよく知らないんでしょう?」



以前、この村でお世話になった時、この村に琥珀君はいなかった。
つまり、私が殺生丸様に着いて行っている間に、琥珀君がこの村に来てりんちゃんと出会った。と言うことでは?

そんなよく知りもしない男の人に、殺生丸様がりんちゃんを任せるとは思えない
自分の眼で見極めて、その相手を認めたら、りんちゃんとの結婚を許す。というのなら分かるけど

しかし、私のその予想は神楽ちゃんに否定された



「いや、殺生丸は琥珀と初対面って訳でもねぇし」

「そうなの?」

「あぁ。――― 確か、あいつらが初めてツラ合わせたのは、奈落に操られた琥珀が、りんを殺そうとして殺生丸を挑発したのが始まりで……」

「最悪の出会いだね」



娘の父(違)と彼氏の出会いとしては、これ以上ないってくらい最悪だ

って言うか、何故そこで奈落さんが出てくるんだ?琥珀君も神楽ちゃんみたいに利用されてたってことか?
なにげに下道極まりないな奈落さん。師匠と良い勝負かもしれない



「――― でも、どう言う訳か、それから琥珀とりんは仲良くなったみたいだね」

「なんで!?」



思わずツッコんだ



なんでそこで仲良くなるの
殺されそうになったなら、フツー逆じゃない?







以前自分を誘拐した神楽ちゃんに懐き、自分を殺そうとした琥珀君と結婚か……。



まぁ深い事情があるんだろうけど、それを知らない私には、すごい壮絶人生に聞こえた(そんでもって、相変わらずりんちゃんは大海原のような広い心を持っている)



「あたしも詳しくは知らねぇよ。でもその後、琥珀は奈落の支配から逃げ出して、殺生丸に着いてったらしいぜ。勿論、りんも一緒にな」

「殺生丸様よく許したね」



こういう時、『殺生丸様は優しいよ』って言うりんちゃんの言葉が蘇ってくる
もしかして、殺生丸様は女子供には優しいタイプだったりするのだろうか?



「……じゃあ、琥珀君のこと、全く知らない訳じゃないんだね。殺生丸様」



「殺生丸様が、一時期琥珀君を連れていた」と言う師匠の言葉は本当だったんだな……
そんなこと言ったらまた師匠に怒られそうだけど



「でもだからって、よく殺生丸様がお許しになったね」

「お前もしつけぇな……。」



呆れたようにそう言われて、ちょっと反省した。
でもやっぱり、殺生丸様相手にそんなあっさり話がとんとん拍子にハッピーエンドの方向に進むとは、にわかには信じられなかったのだ



「あ、いやごめん。別に神楽ちゃんを疑ってるわけじゃ……」

「まぁ気持ちは分からないでもないけどな。あたしも聞いたときは驚いた」



そうかなぁ……。十分冷静に見えるけどなぁ……。



「……ちなみに、神楽ちゃんはどう思ってるの?」

「あ?なにが?」

「琥珀君とりんちゃんの婚姻。」

「どうって言われてもねぇ……」

「じゃあ、琥珀君ってどんな子?りんちゃんを幸せにしてくれそう?」



まぁ殺生丸様のお眼鏡に叶ったってことは、きっといい子なんだろうけど、一応聞いてみた
すると思ったとおり、神楽ちゃんは考える素振りこそしたものの、すぐに首を縦に振った



「まぁ、大丈夫じゃねぇの。あいつ真面目だし。見た目より根性あるし」

「確かに、誠実そうだよね。琥珀君って。………ちなみに、祝言っていつなの?」

「3ヵ月後だと。殺生丸が色々揃える気らしい」

「…豪華な式になりそうだね……」

「しばらくは祝言の準備のために、あちこち飛び回る気じゃねぇの」

「あはは、確かに……」












その光景を頭に思い浮べて苦笑した、その時だった

































後ろから僅かに妖怪の気配を感じた



確認する前に、後ろから口を抑えられて身体を拘束される



神楽ちゃんの後ろ姿がこちらに振り返る前に、そのまま別の異空間に引きずり込まれ目の前が真っ暗に染まった
























「―――………神威?」









風に乗って、神楽ちゃんのそんな声が聞こえたような気がした










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  1. 2013/07/25(木) 17:31:00|
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