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狂乱壊
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そして物語の准章は愛し子の祝言を確定する

准章~愛し子シリーズ~の閉幕


















――――― 村の皆が集まっている



祝言をあげる二人を見守っている
礼服を着たりんちゃんと琥珀君が盃(さかずき)を交わし、正式に夫婦(めおと)となった
婚姻の儀を終え、村人全員に祝福されながら、二人は幸せそうに寄り添いあっていた

殺生丸様は、りんちゃんの花嫁姿をしばらく見てから、ふいに姿を消した
それに気付いた神楽ちゃんは、殺生丸様の後を追って姿を消した



………やっぱり複雑なのかな、殺生丸様……














「――― 父親なぞ、皆そんなものだろう」

「………。」



後ろを振り替えると、師匠が心なしか楽しそうな顔をして、りんちゃんたちの姿を見ていた
今度はちゃんと奈落さんの姿だ



「……見に来たんだ」

「まぁ暇潰しにな」

「………。」

「そう警戒するな。あれを邪魔するつもりは毛頭ない」

「……。なら、いいけど」



邪魔しないなら、いいか
確かに、おめでたい式に師匠が出てはいけない理由はないんだし











―――………あ。





「そうだ。師匠」

「何だ?」

「ありがとう。協力してくれて」



まさか師匠が殺生丸様の姿をして、協力してくれるとは思わなかった
頭を下げる私に、師匠は気にした様子もなく言った



「何、あのままあの小僧に死なれるとわしも困るからな」

「?りんちゃんが悲しむから?」



自分で言っておいてなんだが、すぐに「あ、違うな」と思った
それと同時に、師匠がニヤリと、結婚式にはそぐわない笑みを見せた



「あの小僧が死んだら、殺生丸の不愉快に歪む顔が拝めぬだろう?」

「やっぱりそっちなわけね……」



嘘でも「りんちゃんのため」とか言おうと思わないのだろうか。この人……


というか、なんでさっきから楽しそうにしているんだろう。師匠が機嫌が良いときは、大抵よくないことを企んでいたりするので、何か嫌な予感がした



「今頃、あの男が歯軋りしながらハンカチを噛み締めているかと思うと心が踊るわ」

「ハンカチって……」



年代が違う。知識が偏っている。殺生丸様はそんなことしない

――――― ツッコミどころが多くて困る




「でも、殺生丸様は二人の結婚をちゃんと認知してるんだよ?」



そりゃあ多少の抵抗はあるだろうけど、それでも殺生丸様は二人の結婚を許したのだ。結婚当日には受け入れる覚悟だって決まるだろうから、そんなに不愉快な気持ちにはならないと思うけど



「それでも、祝言の支度の間に殺生丸の気が変わらんとも限らなかっただろう」

「それはまぁ…、そうだけど……」



大事に育てたりんちゃんを、やっぱりお嫁に出したくない!!となる気持ちは分からないでもない

しかし師匠にはまるでそれが……、祝言をあげるまでの準備期間が、勝負どきだったと言わんばかりだ




「だがこれで、殺生丸が認知しようとしまいと、あの二人が祝言をあげることに変わりはなくなった。それがわしには愉快でならんのだ」

「?」



まるで勝ち誇ったように、愉快そうに笑みを浮かべる師匠に、私は首を傾げた


何かおかしい日本語を聞いた気がする



が、師匠が話を続けたため、突っ込むことは出来なかった




「――― まぁ、表面上は受け入れていても、内心気に食わないことはままあるだろう。という話だ」



まるで取り繕うようにそう言われて、若干はぐらかされた気がした



なんか怪しいなぁ……



思わず師匠に疑いの眼を向けた




「そんな顔をするな神威。代わりに一つ、良い事を教えてやろう」




師匠の言う“良いこと”は、私にとってあまり“良いこと”ではないことが多いのだが、今回はそうでもなかった


師匠は、珊瑚ちゃんと喜びを分かち合っている琥珀君に眼を向けながら言った




「殺生丸があの小僧の同伴を許したのは何故だと思う?」

「?」




殺生丸様が琥珀君を傍に置いた理由?


















「――― 神楽の為だ。」




その言葉に、思わず眼を見開いた







――――― 神楽ちゃんのため?










「あの小僧は殺生丸にとって、死んだ女妖怪の忘れ形見のようなものだった」




まるで唄うようにそう告げる師匠の眼は、まるで酔狂なことでも思い出しているかのようだった

でも、私とってその話は、とてもそうは思えなかった




「あの女妖怪は生き延びる為、小僧を殺せと命じられていたのだ
だが、あの女妖怪はそれに背き、命懸けであの小僧を逃がした
その所為で女妖怪は死期を早め、死んだ

だからこそ殺生丸はあの小僧を傍に置いたのだ
女妖怪の死を無駄にせず、更に報いる為には、あの小僧を生かす必要があった
それが、殺生丸があの小僧を生かし傍に置いた理由だ」



「………。」







犬夜叉君たち。殺生丸様たち。奈落さんたち



私の中で、この三組の関係性がいまいち掴めていなかったのだが、今はもうそんなことどうでもいいくらいだった


殺生丸様が神楽ちゃんの為を思い、何かをしていた


その事実は、私の中で疑問が全て吹っ飛ぶくらいの衝撃と感動になっていた

















「……さて、そろそろ潮時か」



師匠が片手の掌で、私の眼を隠す

琥珀君とりんちゃんたちの姿が見えなくなる。何だ何だ




「―――― あまりあの女妖怪に不審に思われるのも、好ましくないからな」
















(――――――――――――― なに?)
























































「…………。」




眼をあけると、私は腐りかけた木の床に横たわっていた
欠けた天井の隙間から朝日が差し込んできて、眩しさのあまり腕で眼前に影を作った



「やっと起きたか。いつにもまして遅いお目覚めだね」



半眼の状態で眼を動かすと、呆れたように神楽ちゃんが私の顔を覗き込んでいた
心なしか安心した顔つきにも見えなくはなかったが、きっと気のせいだろうと思った

起き上がると、体にかけていた毛布がズレる
寝床に使っていた、さびれた空き家の中が眼に入って思わず頭を抑えた
頭が現実を認識する



………うん。待てよ



これは覚えのある展開だぞ






私は大きく息を吸いこんだ












「――――― 夢オチかよ!?」

「朝っぱらから何の呪文だそれ」




私の朝一番の大声は、森の中にどこか虚しくこだました
























(――― あの様子からすると、軽く見積もって5~6年後か。来る日が楽しみだなぁ)






師匠のそんな小さな呟きは、絶叫中の私の耳には届かなかった










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  1. 2013/07/26(金) 01:19:01|
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