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狂乱壊
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一輪の薔薇を拾った無責任な男の怒りとは如何なるものか



『一輪の薔薇を拾った無責任な男』その⑦
















カルトに出ていけと命じたものの、フェイタンとしても、あの家にいたくなかった



街灯もない、出店もない、文字どおりの暗闇の街中を、フェイタンはぶつかる事もつまずく事もなく進んでいく
ズカズカと苛立ちを隠しもせずに外を歩いていると、人影に声をかけられた
フェイタンの殺気に怖じけづくことなく声をかけたのは、フィンクスとシャルナークだった



「よぉ、どうしたんだフェイ。そんなこっえぇ顔して」

「………。」

「……あれ?カルトは?」



いつもフェイタンの傍にある小さな影がないのを不思議に思ったのか、辺りの見渡して確認するシャルナーク
その『カルト』と言う言葉に過敏に反応して、フェイタンは唸るように呟いた



「今、私の前であのガキの話をするな……っ!!」



闇夜の中でもひしひしと伝わってくる怒りに、思わずフィンクスの顔が引きつった



「殺気立ってんな……どうしたよ一体」

「カルトと喧嘩でもしたの?」



フェイタンの怒りを逆撫でしないように慎重に言葉を選んで質問する二人に、フェイタンは怒りのこもった静かな声で一言だけ言った







「―――― 追い出した」


「……追い出したぁ?」






意味が分からない。と言うよりは、ついにやりやがったか。みたいなニュアンスだった



「またいきなりだな。フェイタン、カルトに何したんだ」

「私は何もしてない。したのはあちね」

「ホントか?」

「カルトが何したの」

「……私の月餅、勝手に食べやがた……!!」



食べ物の、特に密かに楽しみにしていた物の恨みは重いとばかりに訴えるフェイタン
しかし、フィンクスとシャルナークは冷静だった



「フェイタン飯でもやり忘れたんじゃねぇのか?」

「失礼ね。ちゃんと食べさせてたよ」



確かにカルトの食べる量は少なかったが、それは元からの様だったし、とにかく食べさせることは忘れなかった
パクノダの鉄拳の受けた後では、例えフェイタンと言えど、進んでその怒りを受けようとは思わない
その制裁の場に居合わせていたからか、二人ともその言葉は信じたらしい



しかし、シャルナークは冷静に疑問を持ったようだった








「―――― でもカルト、なんでそんなことしたのかなぁ?」









「あ?」




意味が分からないとばかりにシャルナークに視線を向けるフェイタン
しかし、そんなフェイタンこそシャルナークには分からなかった



「カルトは何の理由もなくそんなことする子じゃないでしょ?きっと何か理由があるんだよ」

「なんでそんなこと分かるね」

「むしろ何で分かんないのフェイタン。いつも一緒にいるくせに」







そう何でもないように返されて、言い負かされたわけでもないのに、何故かフェイタンは言葉につまった







シャルナークは少し考えてから、パンッと手を叩いた




「よしフェイタン。ひとまずフェイタンちに行こう」

「は?何でね?」

「検証だよ。なんでカルトがそんなことしたのか確かめなくちゃ」



ただの野次馬根性じゃないか。と、言い返す前に、シャルナークはスタスタとフェイタンの家に向かって歩いていき、面白そうだとばかりにその後にフィンクスもついていく



フェイタンは今、家に帰りたくなかった
だが、他人に勝手に家の中を荒らされるのもごめんだった


仕方なく、フェイタンも元来た道を戻るようにして、二人の後に続いた


























―――― その時はまるで疑問に思わなかったが、後になってフェイタンは疑問に思った










こんな金にもならないことに、何故、シャルナークは意欲的だったのだろうか













後からその理由を考えてみても、フェイタンには見当もつかなかった

















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  1. 2013/04/20(土) 11:58:07|
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