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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

そして物語の准章は忌み子の声を探す











殺生丸様はどんどん山奥の中に進んでいく。その途中、何度も妖怪(神楽ちゃんいわく半妖)に襲われたが、それを何度も繰り返し撃退して深い山の奥へと進んでいく。高い杉の木々の所為で日差しが遮られて、まだ昼間のはずなのに山の中はひどく薄暗く気味が悪かった



……気のせいだろうか。何だか、進むに連れて暗くなるのと同時、どんどん変な気配まで強くなっている気がする



とは言っても、これは妖気とも障気とも違う。感じたこともない嫌な気に満ちた空間に包まれているのは分かるのだが、それ以外何とも説明しがたい感じだ
しかし、殺生丸様が歩き続ける以上、私もついていくしかないし、殺生丸様が黙っている以上、詮索する気にはなれなかった










そうやって歩いていく最中、耳に届いた微かな音に、ピクリと、体が反応した。思わず、殺生丸様についていく足を止めて耳を澄ませた



「………。」



何も聞こえなかった
気のせいか。と、思ってまた足を進める。しかし、しばらくしてからまた同じような音が聞こえて、もう一度足を止めキョロキョロと辺りを見渡した。やはり、何も聞こえない



「………。」



何も聞こえない。何の気配もしない







――― でも、やはり気になった





「………おい、神威。何してんだ。置いてくぞ」

「……うん。」





前を歩いていた神楽ちゃんに振り返りながらそう言われて、戸惑い気味に頷く。そんな私の様子に、神楽ちゃんは訝しげに顔をしかめた。そりゃあそうだ。明らかに私の態度は挙動不振だった



「………ごめんっ!!神楽ちゃん!!」

「あ?」

「殺生丸様!!ちょっと失礼しますっ!!」



不思議そうな声を上げた神楽ちゃんと振り向きもしない殺生丸様を後にして、私は土地勘もない山奥の中を、どこから聞こえているのか全く分からない声を頼りに走りだした













私は走った





時々藪(やぶ)の中を掻き分け、走って、時折立ち止まり耳を澄ませて声を辿る

















――― 小さな、子供の声を





最初は子猫の声かとも思ったが、少しずつ明確になっていく声は子猫ではないと私に確信させた。聞こえる声は動物の鳴き声ではない。これは、子供の泣き声だった。もしこんな危ない所に子供がいて、しかも泣いているのならば放っておくわけにもいかない。いつ妖怪に襲われるかも分からないのだ。…いや、もう襲われているのかもしれない。













私は泣き声を頼りに彷徨うように山奥の中を走り回った。































そうして走り続けて、やっと声の主の近くに来た、と思った私は走る足をとめ、慎重に辺りを見回しながら進んだ








…………どこだろう。あの小さな声……













声だけを頼りに不気味な山の中を探す。あっちこっちと歩きながら気味の悪い空間の中を歩いた先、小さな人影を見つけた


















――― 幼い背。子供だ。










やはり私の空耳じゃなかった。




















淀んだ空気の密度が更に濃厚なその場所に、小さな子供がうずくまっている。最初は、後ろ姿から見るに女の子かと思った。少しクセのある長い髪、そこから覗く華奢な体。しかし、間近に近づくにつれ、どうやら女の子では………否、人間ではないことに気が付いた。背中を覆う長い髪の間からは、まるでコウモリの様な大きな羽が隠し様もなく生えている。その髪から覗く耳も何だか大きく先が尖っている
遠目からは一見人間に見えたが、まさかこの子……妖怪?





「やだよぅ……ひとりぼっちは、いやだよぅ……」




妖怪に追い回されたのか、逃げていて親とはぐれたのか、分からない
ただ、その背中はあまりにか弱く儚く映った






「―――っ僕をいじめないで……」


「………。」




とても、とてもとても、悲しげに泣くその様子に、何だかとても居たたまれない気持ちになった。私のことに気付いていないその背に声をかけてみようと、恐る恐る手を伸ばした時だった














――――― 突風が吹き荒れた。





















まるで風の壁に押されるように、泣いている子供から一気に引き離される。そしてそのまま、先程より暗く深い闇の中に放り出された








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  1. 2013/07/26(金) 01:23:11|
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