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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

そして物語の准章は忌み子の世界に迷い込む













師匠はどんどん先へと進んでいき、私は何のためらいもなくその後に続いた。
しかし、先程の殺生丸様同様、師匠が私をどこに連れて行く気なのか分からない。胡散臭い気はしないでもないが、まぁ、着いていくのを拒否したところで強制連行されるのは眼に見えているので、『着いていく』と言うよりも、『着いていくしかない』と言った方が正しいかもしれない。
とりあえず、師匠の目指している方向は(先ほど殺生丸様がそうしたように)、蝕毒の気の強いところを目指しているわけではなさそうだ。と言うことしか分からなかった。





………にしても殺生丸様、ホントなんでこんな山に来たんだろ?


ふと、殺生丸様がこの山に来た理由が気になって考えてみる。
……もしかしたら、殺生丸様、この蝕毒に気付いてここに来たのかな?
そう言えば何か「気に食わん匂い」とか言ってたし、それは蝕毒のことだったのかもしれない。嫌な気、蝕毒の強いところを目指して進んでいたみたいだし。

そこまで考えてそれで納得しようとした私だったが、先程の師匠の言葉が思い出され、その可能性は否定された。



師匠は先ほどこう言っていた



『蝕毒は、妖怪には何の害もない』




………つまり、蝕毒は妖怪である殺生丸様には何の悪影響もない。自分にとって何の悪影響もないものなど、警戒する理由にはならない。蝕毒の存在が、殺生丸様がここに来る理由にはならないか……。
しかし、蝕毒以外に殺生丸様がここにくる理由が思い当たらなくて、私は八方塞がりになった頭で首を傾げた。





ちなみに、神楽ちゃんはと言うと、殺生丸様の『神威から離れるな』と言う言い付けを守るためか、疑わしそうな顔をしながらも私についてきてくれていた。相変わらず師匠のことが嫌いなのか信用ならないのか、疑わしそうな目付きを変えることはなかったけど



(――― ごめんね、神楽ちゃん)



声には出さず、内心でこっそり謝っておく。神楽ちゃんには悪いが、ちょっとだけ付き合ってもらうとしよう。少なくとも、殺生丸様が戻ってくるまでは。
まぁ何師匠が何を考えているかは知らないけど、何にせよ、殺生丸様が冥界から戻ってくるまで、私はこの山を離れるつもりはない。多分神楽ちゃんだって、殺生丸様が帰ってくるまでこの山を離れる気はないだろう。













―――― それに、あの男の子のことも気になる。



事情はよく分からないけど、親とはぐれたのなら探してあげるなりして助けないといけない。




















そして、そんなことを考えながらも師匠に言われるままに山の中を歩いていると、師匠はいきなりピタリとその足を止めた。どうやら、目的地についたらしい。
私は師匠の背中ごしに、ヒョイと目的地を覗き込んだ











――― その先には、巨大な、変わった植物があった




……否、植物、なのかも疑わしかった。
これがもっと手の平に納まるサイズなら、花咲く前の菜の花や霞草に見えなくもない。しかし、その植物は大木のように大きくて、どっちかって言うとラフレシア的な毒々しさとまがまがしさがあった。とてもじゃないが、可愛いからはかけはなれている。その植物に実っている球も何だか不気味だった。



「………?」



なんだこれ。

見たこともないその植物に好奇心をかられ、気付いた時には師匠の後ろから出てきて、その植物に近づいていた。そしてまじまじと、その球を凝視する。所々に実っている球は、人ひとり分くらいあるような大きさで、藍と紫の混濁したような色の球に、歪なシルエットが映っている。思わずつつくように触ってみる。と、次の瞬間、いきなり繭みたいに球が割れ、中からジェル状の中身が漏れ、中に煮詰まっていた液体が一気に漏れ出て地面に広がった



「………っうわ!?」



思わず後退りし、その中の液から勢いよく漏れ出た強烈な気に、思わず顔をしかめる。その球の中に詰まっていたのは明らかに濃縮された蝕毒だった。しかも、球の中からは、予想だにしなかった人物が出てきて思わず声が出た



「……かごめちゃん?」



ドロドロの蝕毒の液にまみれ、中から出てきたのは、間違いなく妖怪退治に出ていたはずのかごめちゃんだった。あまりに予想外のことだったので、すぐには対応出来なかった。が、慌てて我に返りその体を起こした



「かごめちゃん!?何でこんなトコに!?じゃなくて、しっかりして!?ねぇ!!」



声をかけてみるが彼女の体はぐったりしていて反応はなかった。が、規則正しく呼吸はしている。おろおろしている私の後ろから、どこか感心したような能天気な声が聞こえた



「ほう。流石桔梗の生まれ変わり。そう簡単には蝕毒に侵されんか」

「っちょっと!!どういうこと師匠!?何なのこれ!!」



師匠は私の質問には答えず、そのままスッともう一つ、繭を指した。師匠の指差したその繭は、他の球とは違いほのかに光を帯びていた。



(………あれは、結界の光?)



「こやつは結界を張って事なきを得ているが、時間の問題だ」

「一体何なんだよこれ。………っ!!」



不思議そうにそう言って、繭に触ろうとした神楽ちゃんだったが、触れた神楽ちゃんの手にバチリ。と、火花が飛び、神楽ちゃんの手が拒絶されるようにはじかれた。それを見て、師匠が取って付けたように注意を促した



「やめておけ女妖怪。それは貴様には触れられん」

「っそう言うことは先に言えっ」



どうやら、この球は妖怪には触れないらしい。
師匠の指差した球に私が触ると、先程と同じように中から大量の蝕毒と、結界を張っていた人が崩れる様にして落ちてきた。その中から出てきた人物にも見覚えがあり、私はさらに意味が分からなくなった



「っ弥勒様っ!?」



抱き起こしてみるが、弥勒様も限界だったのか既に意識を無くしていた。結界を張るために法力を使い果たしたのか、なんとなく顔色が悪い



「弥勒様まで、なんで……!?ちょっと師匠どういうこと!?」



現状が把握し切れず師匠をあおぐが、師匠は呑気に空を、否、その植物に実っている他の球を見上げていた



「ちょっと師匠!?聞いてるの!?」

「――― 神威」

「何っ!?」




















「―――― 生まれるぞ」



「!?」




ブ シ ャ ア ッ ! !








植物に実っていた球が一斉に割れ、中から妖怪が出てきた。蝕毒の雨が降り注ぎ、慌ててかごめちゃんと弥勒様を抱えてその雨から逃れる。球の蝕毒にまみれながら、まるで生まれたてのように妖怪が地を這う。低く唸るその妖怪達は明らかに理性が無い様子で、私を見るなり獣の様に飛びかかってきた。

両手が塞がっていて反応が遅れた私の眼の前に、突風が吹き荒れる。思わず眼を閉じ、風が収まってからその眼を開くと、神楽ちゃんの後ろ姿と、風に切断され絶命した妖怪達の死体の山が映った。
――― どうやら、神楽ちゃんが助けてくれたらしい



「あ、ありがとう神楽ちゃん………」

「別に」



そっけなくそう言って懐に扇を仕舞ながら、神楽ちゃんは視線を師匠に移した



「――― で?結局何なんだよこの木」

「毒侵木(どくしんぼく)だ」



師匠にそう呼ばれたその植物は、妖怪を生み出し終えたことで役目を終えたと言わんばかりに、みるみるうちにしぼみ枯れていった。師匠はそれから眼を逸らさずに話を進めた



「これは、蝕毒の効きにくい人間……法力の高い僧や巫女などを半妖にするためのものだった。力ある者を球の中に取り込み、より濃度の高い蝕毒を無理矢理体に染み込ませ半妖とする」



確かに、言われてみれば神楽ちゃんに切り刻まれた妖怪の死体は、僧の着物や尼の羽織など、仏門に属する人が着るような着物を着ていた。つまり、半妖にされそうだった人たちの中で、助けだせたのがかごめちゃんと弥勒様の二人だけ……



「って、師匠!!そういうことは先に言ってよ!!」



そうだと知っていれば、もっと急いでここに来たのに!!と、非難めいた声で叫ぶが、案の定師匠は全く意に介さなかった



「そう怒るな。あの時点で救えるのは既にその二人だけだった。どうしようもなかった」

「だからって……!!」




文句を言おうとして口を開いたが、後ろから感じたまがまがしい妖気に勢い良く振り返った



















「――― 来たか」







その強くもまがまがしい妖力を感じながらも、師匠は笑う。










張りつけたような笑みで、笑う。





















しかし、私はその溢れる妖気を放つ人物を見ても、すぐには受け入れられなかった











「―――………犬、夜叉くん?」





犬耳に白銀の長い髪。火鼠の衣を身にまとう彼は間違いなく犬夜叉君だった。
が、なんだか、いつもと様子が違う。眼が赤くなって、獣のように唸っている。私たちに殺意を向けるその姿は明らかに凶暴そうで、いつもとはまるで別人みたいだ



「………え、えっと、どうしたの?犬夜叉君?」

「妖怪化してるね」



戸惑う私の問いに答えたのは、犬夜叉君ではなく、かといって師匠でもなく神楽ちゃんだった



「………、妖怪になっちゃったの?」

「一時的にな。蝕毒の所為かは知らないけど。でも、こいつが妖怪化すると理性を失って相手に構わず戦って破壊し尽くすんだよな」

「って危ないじゃん!!どうしたらいいの!?」

「あたしに聞くな」

「あぁもうっ!!神楽ちゃん!!かごめちゃんと弥勒様見ててね!?」










気絶している二人を神楽ちゃんにまかせ、私は首切り鋏を構えて彼に対峙した













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  1. 2013/07/26(金) 01:26:43|
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