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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

そして物語の准章は忌み子を魔物の囁きに陥落させる












神威が気絶した所為で結界が解けた。











蝕毒のなくなった世界はどこか空気が吸いやすいものに変わっていた


























死神鬼が紫翼によって倒された。しかし、倒されたことは分かっても、何故倒されたのか、どうやって倒されたのかよく分からなかった。そして、何より引っ掛かったのは、紫翼のあの意味深な言葉だった



「……何を、した?」



答えるかどうかは分からなかったのだが、意外にもあっさりと紫翼は答えた。死神鬼を吸い取った呪咬刀を満足そうに見つめながら、楽しそうに言う



「分かたれた力などたかが知れている。わしが欲しかったのは、完全なる死神鬼の力」





……分かたれた力?完全?




ますます意味が分からなかった。

けれど、まるで用意された台詞でも語るかのようにつらつらと紫翼は言葉を続けた



「金禍、銀禍に同じく、繋がりの力の強さは双子も同じ。片割れが片割れを呼び共鳴し、取り込もうとする。―――否、“あやつ”の場合は、執念、とでも言うべきか?」



もはや独り言のようにそう言いながら、世裁梃を拾う。そして、そのころになってやっとかごめと半妖の子供が眼を覚ました。そして、紫翼は意識を取り戻した半妖の子供に近づいて淡々とこう言った







「―――― 童。貴様、冥界の主になる気はないか?」




唐突な紫翼の発言に、子供は意味が分からないとばかりに眼を見開いた
無理もない。社でうずくまっていたところを刺されて、死の境を彷徨い、気が付いた直後にこれである、しかし子供の戸惑いなど興味がないのか、奈落の姿をした男は淡々と話を続ける



「貴様は半妖だが、理由どうあれ、あれほどの蝕毒を生み出したのだ。恐らく冥界の邪気にも耐えられる。―――冥界の主になる資格がある」

「あ、あの、ぼ、僕……っ」



紫翼の言葉に、やっと頭が動きだしたのか、子供が怯えと焦りを混ぜたような、悲鳴じみた声を上げる。しかし、紫翼は一切引く様子を見せない。子供には分からないかもしれないが、見ているこちらには分かる。これは、紫翼は、提案じみた物言いをしている様にも見えるが全く違う。












――― 確実に、この半妖の子供を冥界の主に仕立てあげるつもりだった






「何。冥界の主と言っても、そう大層なものではない。形だけのものに等しい」

「………。」



子供は何も言わない。しかし、それでも紫翼の恐ろしさが直感的に分かるのか、圧倒されでもするかのように全身を震わせ、話そうとしない。恐れ、明らかに話についていけていない子供にも紫翼はまるで気にもしなければ容赦もしない。
『子供に自分の都合を押しつける大人』
その形容がピッタリと当てはまった



「冥界には何もない。あるのは絶対的な闇と、冥界に住む獣、そして死者の残骸のみだ」



子供は震えている。ついにはこらえきれなくなったのか、ボロボロと泣きはじめしゃくりあげる。首を横に振り、冥界の主になどなりたくないと必死に訴える。紫翼は逃げを許さないとばかりに子供に詰め寄る。
犬夜叉達が事の重大さに気付き、紫翼を止めにかかろうとしたがもう遅かった。紫翼は球型の結界を子供と自分の周囲に張り巡らせた。まがいなりにも、それは鉄壁を誇った奈落の結界であり、破ることは容易ではなかった。犬夜叉達がなんとか結界を解こうとするが、その間にも事態は発展していく












だが、あれほど感情の籠もらない声を出していた紫翼は急に優しげに、柔和に聞こえる声色で、一言こう付け加えた









「――― だが、貴様の今いる環境よりは良いと思うぞ?何せ………」














そして、優しく微笑む
















「――― 冥界には、貴様の両親がいる」










その耳打ちされた言葉に、子供がバッと顔を上げて紫翼の顔を凝視する。その先には、話に食い付く子供の姿を、満足そうに見つめる紫翼の姿があった。泣くことも、恐れることすら忘れた子供が、先程とは打って変わったように紫翼の話に耳を傾け始めた




「……お父さんと、お母さんが?」

「そうだ。そして恐らく、例えどれだけ時間を費やそうと、貴様の両親は冥界に捕われたまま、一生出ることは出来ない」

「………なんで………っ?」



「冥界において、浄化を受け成仏できるのは、生前の行いを“悪”と認め、悔い償う意志のある者にこそ訪れる。――― が、貴様の両親は、無理だろう。最大の禁忌を犯しながらも、禁忌を犯した事に何の後悔もしていないのだから」




禁忌。



巫女と妖怪が恋に落ちること。







それを後悔していないということは、本当に愛し合っていたということだろう。
美しくも潔い、確固とした想いさえ、世の理(ことわり)は容赦なく、厳しく断罪した





「巫女にとって妖怪と交わることが最大の禁忌。だが、それは妖怪とて同じこと。故に、貴様の父も母も、未来永劫冥界の闇に閉じ込められたままだ。互いに互いを『愛していなかった』と認めぬ限り」








――― そんなこと、出来るはずがない






それは子供も、紫翼も、その場にいた誰もが感じたことだった







「ならばせめて、父と母の慰みになれ。それが今の貴様に出来る唯一のことだ。冥界の主と言う地位を背負い、貴様の最たる願いを叶えにゆけ」




そう言って、紫翼は手を差し出した。
そうして子供は、躊躇しながらも、しかし確実に紫翼の手に自分の手を重ねようとしていた。











――― 紫翼の誘いに、応じようとしていた。













「………よせっ!!止めろてめぇっ!!ガキに一体何を……!!」




それを阻止しようと、必死に犬夜叉が鉄砕牙をふるう。しかし、その攻撃は結界によりはばまれる。それでも諦めようとしない犬夜叉を、わずらわしいとばかりに紫翼が険しい眼で睨む



「下がれ、犬の半妖。この問題に、貴様が手を出す資格はない」

「んだと………!!」

「貴様にも分かるはずだ。父母に先立たれ、味方一人おらず逃げ延びる日々が幼き童子にとっていかに苦難か。同じ半妖の貴様に分からんとは言わせんぞ」

「………っ!!」



それは、全くのでたらめではない。
それは犬夜叉の強ばった顔を見ればすぐに分かった。
それを見て、更に追い打ちでもかけるかのように紫翼が鼻で笑う



「………否、貴様には分かるまいよ、犬の半妖。両親と過ごした日々に帰りたいと思う子供の願いは、それを体感したこともないお前には分かるまい」

「………っおいお前!!」



そう言って犬夜叉が子供に声をかける
が、その大きすぎる声は剣幕と共にあり、子供はビクリと一瞬肩を震わせた



「お前、本当にそれでいいのか!?てめえの親父もおふくろも、そんなことをさせる為に、お前を産んだんじゃねぇだろっ!!?」

「………。」



犬夜叉の言葉に、一瞬躊躇するかのように子供の手がとまる。
しかし、それも一瞬のこと。紫翼が更に畳かけるように言葉を繋ぐ





「さぁ来い、童。冥界にて、両親と感動の再会を果たすと良い」





あまりにも抗いがたい誘い






子供にとって、その言葉はあまりにも魅力的だった。否、もはやその手を差し出す紫翼の手は、子供にとってはただの幸せの前兆。心優しき救いの神にさえ見えたのかもしれない



































――――― そして子供は、意を決した様にして、差し出された手をとった

















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  1. 2013/07/26(金) 01:31:11|
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