FC2ブログ

狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。




  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント(-)

貴方のそれは、恋じゃない

世界巡って旅してたキルアルカが駆け落ち中のフェイタンとカルトちゃんに会って、どうにか二人を別れさせようとする話
『それは確かに恋、だった?』の続きにしようと思ってたけどそのようなそうでないような
視点が色々変わるし一人称やら二人称適当で読みにくいです注意


救いのない陰湿な話

キルアVSフェイタン



















「――― カルトと別れろ」








要求はそれだけ

何の前置きもなく、本題のみを淡々と述べる眼の前の少年に、男は気後れすることもなく淡々と言い返した。抑揚もない、熱一つ籠もらない声だった




「嫌ね。アレはもう私の物ね」

「あんな子供をたぶらかして恥ずかしくないのか」

「人聞き悪いね」

「そうでもなきゃ、カルトがお前なんか選ぶはず無い」

「随分な物言いね」




静かな怒りに満ちた声と、随分悠然とした声が冷たい冷戦を繰り広げる

男は腕を組み、ギシリと椅子の背もたれに体重をかけるまでの間、空白をおいてから口を開いた




「ちなみにお前、アレを手に入れてどうするつもりね」

「決まってるだろ。一緒に連れていく」

「アレにはもう人殺しは出来ないよ?」

「出来なくていい……!!カルトもアルカもナニカも、全部俺が守る……!!」




切実な、誠実なセリフ

模範回答と言っても良いその言葉に嘘偽りは見られず、いっそ拍手でもくれてやろうかと思ったけれど、だからこそ、予想どおりの回答に男はニンマリと口端をつりあげた




「妹想いの優しいお兄ちゃんに良いことを教えてあげるね」




明らかに小馬鹿にした態度でせせら笑いながら、“アレ”と呼んだ少女のことを切々に、否、面白おかしい事でも話すかのような口振りでこう言った















「―――― アレは、私を選んだつもりは毛頭無いね」
















「………何?」



初めて滲み出る違和感を含んだ声
けれど、それに構わず男は話し続ける




「アレが私を選んだ理由は、私だからじゃない。私でも、誰でもよかったからね」




その言葉に、まるで話が噛み合わないとばかりに眉を寄せる少年
しかし、事実なのだから仕方がなかった






















そう、別にカルトはフェイタンを頼りにしたわけではない
それは頼られた本人が一番よく分かっている

カルトがフェイタンの手を取ったのは、ただ、誰でもよかったからだ





血から、家から、呪縛から。






助けてくれるなら、誰だってよかった


それ以外に逃げる方法など、頼る相手など知らなかったからだ




決して逃げ切れやしないと分かってはいても、逃げ出したその時に救いなどどこにもないと分かっていても、助かりたいと願ったその時に、助けてと手を伸ばした先にいたのが、調度たまたま自分だった
カルトが自分の手を取ったのは、自分がカルトの傍にいるのは、そんな偶然としか言えない理由なのだと、そう言う男は、所詮自分は代役なのだと言う事実を、全く気にした様子もなく淡々と口にしていた




「私といたところで、アレの世界は何一つ変わちゃいない。アレの世界は未だにお前が中心で、大切なものはカゾクただ一つね」









時間がどれだけ経とうと、今も昔もそれだけは変わらない


確立された想いも価値観も揺るがない


そのように躾けられ、そのように教えられ、そのように育ってきた
今更の修正も修復も修繕も効かないほど、自然に何度も何度も植え付けられ染み込ませられている















本能に、理性に、感情に、無意識に





カルトの凝り固まった概念はもはや、誰かに何かにどうこう出来るような、生易しいものではないのだ





















「アレにとて、一番大切なのは今でもお前ね。それ以外は全てがその他大勢ね。
だから、お前がアレを本気で手に入れたいと思うなら、それは実はとても簡単なことね。
真剣にもう一度、アレに私と別れて自分に着いてくるよう、説得すればいい」







そうすれば、アレは簡単に私の手を離す。お前の命令に従う




まるで敵に塩を送る助言をしながらも、そう断言しながらも、男は余裕の表情を全く崩さなかった
そんなことを教えてやったところで、自分が不利な状況に追いやられるはずが無いと、確信しているみたいに





「でも、忠告しておくけど、お前がアレを手に入れたところで無駄ね。早々に耐え切れなくなて舌噛んで死ぬよ」




そう言って、付け加える



























「――――― お前が、あの、“もう一人の妹”と一緒にいる限り」






























そう、きっとあの少女は、カルトは耐えられない

自分の目の前で、兄と“もう一人の妹”が仲睦まじげにしている姿を見続けるなど




例えどんなに甘い言葉や優しい言葉をかけられたところで、喜びは一瞬
最愛の人の最愛は、自分ではなくもう一人の妹の方なのだと。自分に向けられるものは所詮おこぼれ程度のものなのだと気付かされる
自分など二の次であり最愛ではないのだと眼の前でむざむざ見せつけられて平気な奴などいない





まるで真実を突き付けるかの様にきっぱりと断言しながらも、男はそれでも彼女を助けたいのならばと、唯一の、しかし即物的シビアな救済策を口にした





「アレを本気で助けたいと思うなら、今お前といるもう一人の妹を殺して、アレを連れて家に帰れ。それが出来ないなら、アレを連れて行ても意味無いよ」









まるで切り捨てるかのようにそう言いながらも、浮かべる笑みは相変わらず皮肉げだ
癇に触るように浮かべられた微笑みは、自分達の家の事情を大方知っているのだと知るに十分だった
大方、情報源たる少女に家の事情をある程度聞いたのだろう


なのに、その上で、出来やしないと分かっていて提案してきている




そう思うと腹が立った





























けれどそれは、男にだったのだろうか
それとも、相手の思い通りの返事しかできない自分に、だったのだろうか






























「――― それは、出来ない」







自分は、あの子を、アルカの手を離す気はない
例え全てを敵に回しても、アルカもナニカも自分が守るのだと誓ったのだ








もう既に、あの時に、キルアは決めてしまっていた














だから、眼の前の男の案は受け入れられない。出来るはずが無い














































――― その条件を飲むには、既に、手遅れなのである


















それから無言になった相手を見て、それを答えとして受け取った男は、これで話は打ち切りだとばかりに席を立とうとした




「それが出来ないなら、お前がアレにしてやれることなんて何もないよ。アレを少しでも長生きさせたいなら、連れてた妹と一緒にささと消えるね」





ガタリと、嫌に大きな音を立てて立ち上がる
無駄な時間などまるで使いたくないと言わんばかりだった








そんな相手を見て更なる怒りを覚えたけれど、ほんの少しだけ違う感情を持った
どこか、可能性にすら、最後の希望にすら感じた感情だった




眼の前にいるのは、妹をたぶらかした極悪人
けれど、大切な妹は彼を信頼し彼の傍にいる



全く信用できない、自分ではない赤の他人



























でもだからこそ、自分には出来ないことが出来る




























「………お前なら、」

「あ?」



「――― お前なら、カルトを救えるのか」


























あの家から

血の呪縛から



自分を、キルアを至上と信じ込まされているあの哀れな少女を




























―――― この男なら、救えるのだろうか





















もしそうなら、このまま見逃してもいい

自分には分からなくても、それで彼女が幸せになれるなら
自分の傍でなくても、どこかで彼女が笑っていてくれるなら


例え自分が報われなくても、眼を瞑ってやろうとほんの少しだけ思えた




































そうどこか、期待さえ込めていた気がするけれど、返ってきた答えは何の解決にもならないものだった






















「――― いいや?」






まるで当たり前のように返ってきた答えに、何故か裏切られたような気さえした
縋った手を振り払われるような、そんな気さえした


男は端麗な顔に何の感情も浮かべずに、抑揚のない声でこう言った





「アレが本当に望むものなんて、私は与えてやれない」







それは、あの幼い少女と共に過ごして、身に染みて分かったことでもある
あの少女が本当に望むものは何なのか、男には分からない
否、予想は出来るが一生理解は出来ないと言ったほうが正しいのだろうか


家族愛など微塵も知らず育ち、生きてきた男には、彼女の求めるものなど、はっきり言って理解の範疇外だった





フェイタンは、眼の前の少年とは違う

フェイタンは少女の最愛の人ではない



カルトの家族ですらない



血縁という繋がりのない自分には、どうすることも出来ない溝だった




彼女の望みを叶えるのに、自分が一番不適任だと言うことくらい、男はとうの昔に気付いている






「私といても気が紛れることはあても、アレの心の隙間は埋まらない」




どうしようもないのだと、男は言う
しかし、だからこそキルアは疑問に思う




「……だったら、なんで」





救えない
何も出来ない



ならば何故、眼の前の男がカルトを連れているのかが分からない





面識は少ないが、男は感情よりも理性を優先するタイプの人間だったはずだ
情などに流されず、理念や利益を追求する側の人間だったはずだ


そんな男が、不毛なことや、無駄なことや、無益なことに時間を費やすとは、どうしても思えなかった









「――― カルトを救えないと分かっているなら、何でカルトを手放さない?」







すると、彼は今度こそ本当に笑った

それは優雅さからはかけ離れた、実に野性的な微笑みだった
否、野性的と言うよりは、まるでこの世の全てをあざ笑うかのような笑みだった

共にある少女を救えもしないと分かっていて、自分の腑甲斐なさを恥じるでも悔しがるでもなく、まるで運が良かったとばかりに微笑み、嬉々として口を開いた



































「―――― 美しいものが、少しずつ滅んで逝く様は、何よりも楽しいからね」

















桜の散りぎわ
枯れる薔薇
雪の結晶

欠けゆく月に、割れる硝子








美しい人形がボロボロになりながらも必死に踊る様は、ひどく滑稽でいとおしい















その歪み切った笑みはまるでうっとりと、恍惚の表情にさえ見えるほど気味が悪かった


























「あの子供の死は、きと今まで見た何よりも美しいんだろうね」









あれだけ健気で無垢で懸命な綺麗な少女


じわじわと壊れ死して逝く様は、きっと笑えるくらい痛快だろう





















だから傍にいるのだと、楽しげにそう告白する男に殺意しか浮かばない
握りしめた手のひらには爪が食い込み手背には血管が浮いた








この男が彼女を傍に置くのは、彼女の悲しみを紛らわし軽くするためではない

この男は、絶望の淵に立たされた幼い少女を助けるでもなく慰めるでもなく、そのボロボロになっていく姿を暇潰しの戯曲みたいに鑑賞して楽しんでいるのだ








無意識に身体が震える
怒りで身体がどうにかなりそうだった




唇は震え、吐き出された声は今にも「呪われろ」と罵りそうだった






「――― っそんなことのために、カルトを そそのかしたのか……っっ」


「確固たる強靱な意志ならともかく、揺れ動く意志なんて、何はともあれ誘惑するのが常識ね」






「まぁ強靱な意志が陥落する様も見物だがな」そう言う男に唾でも吐きかけてやりたい気分だった
性根が腐りきっているとはまさにこのことだと思い知らされた

胃が焦げるような憤りが、眼の前の男を殴り付けたい、否、無残に引き裂いてやりたい衝動を沸き上がらせる












憎悪にも似た、否、憎悪そのものを込めて眼の前の男を睨み付けた












「あんな子供の心に付け込んで、恥ずかしくないのか……!!」


「そうやて、子供だ子供だてバカにして、周りの奴らが何も教えないから、こうやて私みたいなのにかっ攫われるんだろうが」




人の怒りを軽く受け流すかの様に、眼を細めて鼻で笑う
まるで自分の勝ちを誇示するかのように





































しかし、男からすれば理解できないのは寧ろこちらの方だった


どうして分からないのか聞きたいくらいだった






















(――― こいつは、否、こいつらは、まるで分かっていないのだ)





(“家族”とやらのくせに、まるで分かっていないのだ)













意図的なのか偶然なのか、あの少女が末子だからか知らないが、この少年が妹を連れ出した事件からアレは疎外されていた
その事実が、アレの心にどれだけ傷をつけたのか、えぐられるような痛みを与えたのか、まるで分かっていないのだ


子供扱いされないことを望んでいるアレにとって、同等ではなく庇護対象とされることは、ただの苦痛である

アレにとって、守られることは愛ではない
蚊帳の外にされることは“役に立たないお荷物”で“足手まとい”であるという烙印を押されるようなものだ



それが、何故分からないのだろうか



どれだけ大切にしているつもりでも、泣いている子供の傍にいなければ、何故泣いているのか知らなければ、なんの意味も無いだろうに
















そんなんだから、アレが家族以外の者に救いを求めたりするのだ






























けれど、男からすればそれは願ったり叶ったりだった

もし、家族の中に一人でもアレの心境を理解し救ってやろうと思う奴がいたのなら、決してあの日、アレは自分の手に落ちることなどなかっただろう





























――― そう、あの日







カルトがフェイタンの手を取ったあの日











夢も、希望も、未来も、何もかも諦めたアレが最後まで耐えきれなかったのは孤独だった



一人は怖い。一人だけは絶対嫌だ。“いらない”とされるくらいなら死んだ方がマシだと。そう言いながら泣いていたアレを見つけたのが自分だった時は、偶然にもなんてツイているのだろうと心の中でひとしきり笑った


































『家族に見限られるくらいなら、こちらから見限ろう。』



『そうすれば、ずっと傍にいてあげる』








そんな陳腐な安い言葉に陥落されながらも、もはや自分は報われないのだと分かっていても、未だ家族への情を執着を捨て切れないアレは、ひどく未練がましく道化じみている。
家族など知らないけれど、家族なんてものは、アレが大切に思えば思うほど、容赦なくアレの心を現実と言う刀で切りつけるだけなのだと、十分身に染みて分かっただろうに


それでも無意識に、その二律背反の中でもがき続けている






















それが愉快でならなかった





















けれどだからこそ、アレには、家族でない自分が必要なのだ
家族でない自分にひとときの安らぎを求め、心地よさを感じている

















――― そして、だからこそ眼の前の、家族であるこの少年にはそれが出来ない













眼の前の相手も、無意識にそれを分かっている
だから、叫び罵りこそすれ噛み付いたり手を出すことが出来ないのだ






屈辱でも受けたかのように顔を歪ませ、歯を噛み絞める少年を見て男は笑う












「だから、何度も言てるね。お前だて、ホントは分かてるんだろう?」















眼の前の彼は何も言わない

けれど、それが答えのようなものだった






最後にもう一度嘲笑を浮かべて、相手に思い知らせるようにフェイタンは舌を出した












































「――― もう、手遅れね。何もかも」


























そう言う黒の男の表情もまた狂い切っていて、どうすることも出来ないのだと、直観的に悟った


















*************************







過剰な加護は、子供に負荷をかけるだけだという話





キルアにとっての兄弟イメージ


イルミ=トラウマ
ミルキ=何だかんだ仲良し。て言うかギブアンドテイク
アルカ=仲の良い可愛い妹
カルト=仲良しではなかったが可愛い妹


カルトちゃんは一番になれない=自分は何も出来ないとか言いそうなタイプ



フェイタンみたいな人に大事な妹かすめ取られたらキルアじゃなくっても不愉快になると思います(酷)
ちなみにフェイタン的にはカルトちゃんから縋られたことは鴨がネギしょってやってきたみたいな認識くらいしかない





フェイカル狂愛小説読んだ影響で書いた話。白菊狂愛もの好きです(←)




時系列的には32巻後→『それは確かに恋、だった?』→本作。的な?
32巻終了後、自分の知らない間に何があったか知らされ不調になったカルトちゃんが敵の攻撃くらって瀕死状態になり『それは確かに恋、だった?』に続く。みたいな?(この無理矢理つじつま合わせる感)





スポンサーサイト


  1. 2013/10/10(木) 18:14:53|
  2. H×H|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

  

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://destroy69.blog43.fc2.com/tb.php/552-2e9fe8e5
 

  

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。