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狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

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現実に理想を押し付けるとこんな感じじゃないだろうか

『理想と現実との違いとはこんな感じじゃないだろうか』の続編みたいなもの
オリキャラ出ます注意

適当に書いたので気が向いたら直します←



















「フェイタン僕の彼氏になってよ」











そんなカルトの一言から、フェイタンは今パドキア共和国にいた。











パドキア共和国。伝説の暗殺一家、ゾルディック家が住むククルーマウンテンがそびえる言わずと知れた観光スポットの一つである。しかし、本当に観光目的にこの場に降りたなら、こんな憂鬱な気持ちにはならなかったのだろうとフェイタンは無意識の内に溜め息をついた。そんなフェイタンを見て、隣にいたカルトは少し斜め下からたしなめるように彼を睨み付けてこう言った。


「ちょっとフェイタン。まだ家にも着いてないのにそんな顔して溜め息つくのやめてよ」

「やかましい。誰のせいね」



そんなカルトに対して、全く自分が悪いと思っていないとばかりにフェイタンはカルトを…こうなった元凶をジロリと睨み付けた。

























『フェイタン僕の彼氏になってよ』




そう自分に堂々と言ってのけた新入りの姿は未だに記憶に新しい。ロマンの欠片も青春の欠片もへったくれもない表情と声色で、カルトがフェイタンに告白してきたのはほんの先日の事である。しかし、最初に断わっておくが、『ロマンの欠片も青春の欠片もへったくれもない』の言葉通り、カルトが本当にフェイタンの事が好きで、フェイタンの事を恋愛対象として見てそんな事を言ってきた訳ではない。フェイタンだって、カルトの様な可愛い後輩に告白されて、年の差はあれどその健気さに陥落して付き合うのを承諾したとかそんな甘酸っぱいエピソードは欠片としてない、断じてない。フェイタンはカルトの事を何とも思っていないし、カルトに対する認識があるとするならば只の同僚もしくは只の後輩位のものである。
まずそれが前提条件にある事を念頭に入れておいて欲しい。
恋愛感情の欠片もないのに、何故カルトがフェイタンにそんな事を言ってきたかと言うと、当然裏があった。カルトは最初、フェイタンに淡々と冷静に『彼氏になって欲しい』とだけ言ってきたが、もっと後から詳しく話を聞いて事情を聴くと、簡単に言えば『自分の彼氏のフリをして、両親に会ってほしい』と言ってきたのだ。
カルトが何故そんな事を言い出したのか。まずはそれから詳しく話す事にしよう。


カルトの家は、言わずと知れた伝説の暗殺一家・ゾルディック家である。ゾルディック家は昔から社会の闇に生き、闇の世界の暗殺稼業において最も信頼と力を得ている一族である。しかし、暗殺一家とは言え、粗暴な半端者の一族ではない。ゾルディック家はむしろその逆で、裏社会の由緒正しき名門一族、しかも本家本元まである程の有名な名家であった。そして、そう言う格式高い一族には当然それ相応のしきたりやら家訓の様なものがある。一族の繁栄を、富を、名誉を守る為、その家の人間には常人では考え付かないような教養と強要が強いられる。その内の一つがカルトの今行き当たっている問題とも言えるだろう。


暗殺一家である以上、名門の家系である以上、出来るだけ有能な後継者を産み育てていく必要がある、と言う考えは、一般人であってもある程度の想像はつくだろう。有能な遺伝子に優秀な血を組み入れ、より才覚ある後継者を生み育て上げる。そうやってゾルディック家は闇の世界で繁栄し最強最悪の名を欲しいままにし、暗殺業界の頂点に君臨し続けてきた。そんなゾルディック家に生まれたからには、カルトも一族の一員である以上その役割を果たさなければならない。



ややこしくも遠回しな言い方をしてしまったが、カルトに起こった経緯を言うならばこうである。
良くも悪くも名門の生まれであるカルトには、親に定められた許嫁と言う者が存在する。らしい。
否、正確には“許嫁がいる”と言うよりは、“許嫁を用意されそうになっている”と言ったところか。しかし、カルトはそれが嫌で、咄嗟に「恋人がいるから婚約者と結婚なんかしたくない」と両親に反論したそうだ。しかし、僅か10歳の子供が両親にそんな事を言ったところで信じてもらえるはずがなく、最初は当然笑い飛ばされた。それでもカルトが粘ると、冗談混じりに「ならその恋人を連れてこい」と言われたらしい。勿論、実際にカルトにそんな相手はいない。けれど、そんな事を言ってそんな事を言われたからにはカルトはもう後には引けなかった。嘘でもなんでも、カルトは自分の婚約を解消する為に両親の前に恋人を連れていき婚約を破棄してもらうよう両親を説得する必要があった。そこで、その恋人役に白羽の矢がたったのが、同じ幻影旅団と言うチームメンバーの一員であり、その中で一番自分の恋人と言っても不自然ではない人物がフェイタンだったと、つまりはそう言う事であった。
しかし、当然と言うか、最初にそんなお願いされた時はフェイタンはあっさりと断った。「何故」と問われても困るが、フェイタンにしてみればそれが当たり前の反応だった。何故なら、フェイタンはカルトに何の恩も無ければそんなお願いを聞いてやる義理も無かったからだ。そもそもフェイタンは面倒事が嫌いだし、自分に何の利益も無い事も、興味も無い事も、自分のやりたくない事もするのもごめんだった。誰かから「可愛い後輩の頼みなんだから聞いてやれよ」的な事を言われたような気がしないでもないが、それは所詮、他人事に対する只の野次でしかない。本気で取るに値しなかった。



そのはずなのに、何故フェイタンがカルトのそのお願いを聞き入れて、此処、カルトの故郷であるパドキア共和国にまでわざわざ足を運んできているかと言うと勿論これまた裏がある。



当初、フェイタンはカルトのお願いを当然のごとく即答で断った。しかし、カルトもカルトで自分の一大事であるが故に、フェイタンに彼氏役を引き受けさせる為に、フェイタンにお願いをする前に色々と手を回していた。フェイタンがカルトの彼氏役を断ったその少し後、どういう訳だか知らないが、そのフェイタンとカルトの問題に団長が首を突っ込んできたのだ。
どういう取引をしたのかは知らないが、どうやらカルトはいつの間にか団長に頼み込んで、団長を自分側に引き込んでいたらしい。つまり、カルトが何をしたかと言うと、団長に『団長命令』を発動させ、フェイタンに「カルトの彼氏役としてゾルディック家に挨拶に行ってこい」と言わせたのである。これには流石のフェイタンだって驚いたし予想外だった。まさか自分を彼氏役に仕立て上げる為に団長まで巻き込むなど、一体誰が予想しただろうか。しかし、どんな経緯があったにせよ、『団長命令』が発令されてしまってはフェイタンはどうする事も、逆らう事も出来なかった。逃げ道を奪われたフェイタンが取るべき行動はただ一つしか残されてなかった。
そんな訳で、嫌々渋々仕方がなく、フェイタンはカルトの彼氏役を引き受け、この地に降り立ったのである。


で、現在、フェイタンとカルトは何故かゾルディック家観光バスにてゾルディック家に向かっていた。前からガイドの女がゾルディック家の事についてアナウンスしている中、そのアナウンスされている家族の一員でありながら、素知らぬ顔をしている隣の子供にフェイタンは何故ゾルディック家に行くのに観光バスを利用するのか分からず声をかけた。



「何で観光バスで行くね」



行くなら観光バスで無くても、タクシーやバイク等、他にも移動手段はあったはずだ。何故こんな観光バスでゾルディック家に向かわなければいけないのか。フェイタンは全く意味が分からなかった。「これじゃ本当に観光だ」とばかりの反応を見せるフェイタンにカルトは淡々と答えた



「家に彼氏連れてくって連絡したから、多分このバスで家に行くのが一番楽なんだよね」

「?」

「うち、地元の観光局との契約で、何があってもこの観光バスにだけは手を出さないから」



と、続けたカルトに、フェイタンは更に不可解そうな顔をして見せた。そんなフェイタンに、更にカルトは分かりやすく説明する為にこう付け加えた



「僕、これでも家では『箱入り娘』だから」

「自分で言てりゃ世話無いね」

「で、そのせいか、お父様もお母様も、フェイタンの事をウブな末娘をたぶらかした極悪人だと思ってるらしくて」

「おい」

「だから、家に着く前に事故と見せかけてフェイタンを抹殺しようとする。って事くらい造作も無くやってのけると思うんだよね」

「……この私が、そんなベタな手で殺されると?」



そんな素人じゃあるまいし、その程度でくたばる様な雑魚じゃない。「いらん世話だ」とばかりに睨み付けたのだが、カルトの危惧はそこではなかったらしく、慌てる事もなく静かに首を横にふった



「そんな事思ってないよ。でもさ、考えてみてよ。うち、観光スポットではあるけど、首都からは結構離れてるし、専用の観光バスでも2時間はかかる距離なんだよ?仮に二人で車で行って事故死に見せかけて殺されそうになったとしても、僕もフェイタンも死なない。けど、それから歩いて家まで行くんだよ?面倒くさいでしょ?」



そう言われて、確かにそうだとフェイタンは思った。
別に空港からククルーマウンテンまでの距離は、車等の足がなくてもフェイタンにとっては歩いていけない距離でも、走って疲れるような距離でもない。しかし、意欲もないのにそんな事をしろと言われたら当然サジを投げたくなる。カルトの彼氏役として実家に行くと言う時点で既に面倒くさいのに、更にそんな事になったとしたら、フェイタンは早々に彼氏役を投げて、『団長命令』そっちのけでさっさととんぼ返りをしていた事だろう。どうやらカルトはそこまで推測し、足を奪われる心配のない安全な観光バスを選んだらしい。流石に自分の人生がかかっているだけあってこの子供なりに色々と考えてるんだな。と、フェイタンはどうでもいい事を思った。
長々と緩やかな、ひどく退屈なガイドのアナウンスを聞きながら、乗り心地もさして良くない座席に座る事約2時間。ようやく目的地に到着して、フェイタンはやっと着いたとばかりに腰をあげた。と、フェイタンが立ち上がると同時に誰かに掌を握られる感触がした。何かと思って見てみると、カルトが無表情でフェイタンの手を掴んでいた。その手を見て、無意識にフェイタンの眉に皺が寄った



「………何の真似ね」

「あのね、もう依頼は始まってるの。ちゃんと彼氏らしくしてもらわないと困るんだよ」

「………。」



そう言って振りほどこうとした手を逃がさないとばかりにギュッと握られて、フェイタンはを隠す素振りもなく舌打ちした後、その幼く小さな手を握り返した


























「えー皆さま。こちらがゾルディック家の正門になりまーす。この扉の中に入ったら最後、二度とこの世には戻って来られないと言われており、別名『黄泉への扉』と言われておりまーす」



ガイドの説明を聞き流しながら、フェイタンは高くそびえ立つ巨大な鉄製の門を見上げていた。その門を見て、ほんの少しだけフェイタンの中にゾルディック家に入るという事に好奇心が芽生えた。成程、案外退屈しなさそうだ。しかし、10分たってもガイドは中に案内するそぶりなど見せず、しまいにはこう言った



「それでは皆さま、本日の観光はここまでになりまーす。バスへお戻りくださーい」

「は?」「まだ中に入ってないよ?」



どこからともなく、観光客の団体からそんな声が上がった。しかし、ガイドは聞かれ慣れているのか、非常に丁寧な口調のままニッコリ笑ってこう言った



「ここから先はゾルディック家の私有地となっておりますので見学は出来ません」



その言葉に、周りの観光客からざわめきがわく。フェイタンも流石にその言葉には反応が遅れた。『黄泉への扉』から山脈まで、樹海を挟んでまだ遥か彼方向こうである。つまりそれら全てがゾルディック家…つまりカルトの家の私有地だと言う事である。確かに、カルトはゾルディック家の人間で、着物はいつも上質な物ばかりだし、何気ない動作も洗練されている。育ちがいいとはこういう事なのだろうと薄々と思ってはいたが、これ程とは。先程カルトが冗談混じりに言った『箱入り娘』と言う言葉もあながち冗談ではなく本気で言ったのかもしれない。
と思っていると、カルトが不意に声をかけてきた



「フェイタン」

「何ね」

「無理矢理頼んでおいてこんな事言うのも何なんだけど、出来るだけフェイタンに迷惑かからない様に努力するから」

「………。」

「全部僕が何とかする。フェイタンは極力喋らないで、僕から離れないでいてくれたらいいから」



フェイタンに目線もくれないままそう言って、カルトはフェイタンの手を引いて第一関門とばかりに『黄泉への扉』の傍にある、申し分程度のこじんまりとした管理人室に歩いていった



「ただいま。ゼブロ」



そう言って、管理人室の扉を開いてカルトは中にいる中年男性に挨拶した。中で何やら作業をしていた中年男性は、カルトを見るなり「おぉ。」と声をあげて席から立ち上がった。



「おかえりなさいませ。カルト様」

「うん。ゼブロも御苦労様」

「お珍しいですね。管理人室に立ち寄られるなど」

「うん。一応、君にも紹介しとこうと思って」



そう言ってカルトは、手を繋いだままのフェイタンを紹介した



「僕の彼氏のフェイタン。よろしくね」

「おぉ。こちらの方が……」



そんな風に感嘆した様な声をあげられて、フェイタンは反応に困りほんの少し眉を潜めた。しかし、相手の中年男性はそれを気にした様子もなく、ニコニコと微笑んだまま愛想良く帽子を脱いで挨拶をした。



「これはこれはようこそいらっしゃいましたフェイタン様。わたくしはここの門番を努めておりますゼブロと申します。以後、お見知りおき下さいませ」

「………。」

「ごめんねゼブロ。彼、照れ屋だから」



慇懃すぎる丁寧語に無反応を示していると、隣のカルトがそんな見当違いの事を言うので、思わずフェイタンは文句を言ってやろうとしたけれど、「余計な事言うな」とばかりにカルトに握った手をギュウウゥゥッと強く握られ、仕方なく開きかけた口を閉じた。そんな二人のやり取りの間に気付かなかったのか、その間もゼブロはずっとニコニコとしていた



「カルト様。旦那様方はよく思われていないかもしれませんが、私ども使用人一同、貴方様の幸せを心から願っております。旦那様方がフェイタン様との御関係を認めてくださるよう、影ながら応援しております」

「うん。ありがとうゼブロ。じゃあ僕たちこれで」



そう言って、愛想良く手を振る門番と別れ、管理人室の近くにあった小さな扉を無視して、カルトは『黄泉への扉』の前に立った。「何故あの扉から入らないのだろう」と思ったりもしたが、カルトが当たり前の様に『黄泉への扉』から入ろうとするのでそれを聞く事はしなかった



「よし、じゃあフェイタン。ここ押して中に入って」



そう言われて、軽く鉄の扉を押してみると、一番小さな扉が動いた。それを見てさっさと入ろうとすると、後ろのカルトが微妙な顔をしてこちらを見ていた



「何ね」



押せと言われたから押して、中に入れと言われたからそうしたのに。しかし、カルトはどこか無理やり納得しようとしながら納得出来ないような複雑な顔をして絞り出す様な声でこう言った



「いや………、薄々分かっちゃいたけど……」



「僕は小さい頃から訓練してやっと開けれる様になったのに…」と、後ろでぶつぶつと呟いていた。どうやら、簡単に扉を開けられたのか悔しい様子だった。カルトが入ったのを確認して扉から手を離すと、扉は自動的にゴォンと音をたてて閉まった。扉の中に入ると、眼に入ってきたのは深い深い樹海だった



「……ここから更に歩くのか?」

「そう。あと、出会った使用人に片っ端からフェイタンの事紹介してくから」

「げ」

「何も言わなくていいから。ただ、いてくれたらいいから」



そう言って、カルトはフェイタンの手を引いて樹海の中を入っていった。











中に入った瞬間、眼の前が一気に樹海の真ん中にいる様な風景に変わった。と、同時に何者かの視線……まるで監視カメラで多方から見られている気配を感じて、フェイタンは思わず眼を細めた。敵意や悪意は無いものの、ジロジロと見られると言う事が嫌いなフェイタンとしては既にその時点で帰りたくなってきた。そんなフェイタンの心境など知るよしもないカルトは、まるで慣れっことばかりに『黄泉への扉』をくぐり、扉が閉まると同時に、何故かいきなり犬笛を吹き始めた。その予想外の行動に、何事だとばかりに、フェイタンはカルトを見つめようとした。が、そんな暇もなく、深い密林から何かがこちらにやってくる気配がした。フェイタンがその方向に眼を向けると同時、現れたのは一匹の巨大な獣だった。しかし、野生の獣ではないことは瞬時に見てとれた。ジッとこちらを見つめるその眼はあまりに無感情でいっそこれが獣の眼なのか疑わしいくらいだった。しかし、カルトはそんな薄気味悪い獣に迷わず近寄ったかと思うと、まるで可愛い子犬でも触るかの様な手つきでそのまま獣の長い毛を撫でた



「ミケ。久しぶりだね」



カルトが何処か親しみを込めた様な声をあげるが、眼の前の獣は全くと言って良いほど感情を動かしていない様にフェイタンは感じた。その容貌は明らかに野獣なのに、その眼と反応は機械じみていて、いっそ不気味にすら映った。しかし、カルトは相変わらず愛犬にでもする様なノリでミケを撫でた後、ミケの眼にフェイタンを映させた



「ミケ。この人は僕の恋人のフェイタン。だから食べちゃダメだよ」



と、カルトは言い聞かせるようにそう言ったが、ミケはピクリとも反応を返さなかった。ただ機械的な、何の感情も残っていない様な眼で、ジッとフェイタンを見つめるだけだった。それは明らかに歓迎している風でも、ましてや拒絶している風でもなかった。その眼はまさしく猟犬にして番犬。もしここでフェイタンがカルトに危害を加えようものなら、この獣はすぐさまフェイタンを敵と見なし攻撃してくるだろう。例え勝ち目がないと分かっていても、あっさり潔くその命を散らせるだろう。主人の為に。ミケと呼ばれた獣はそんな眼をしていた。





















ミケをひとしきり撫でて満足したらしいカルトと更に先へと進むと、大理石で作られた門の前に一人の女が立っていた




「久しぶり。カナリア」

「お久しぶりです。カルト様」



執事服を着た褐色の肌の女が深々と頭を下げる。おおかた、ここの番でも任されているのだろう。随分用心深いことだと思った。そんなどうでもいいことを考えているフェイタンの横で、カルトはカナリアと呼んだ少女の前にフェイタンを見せつけるようにして言った



「カナリア、僕の彼氏のフェイタンだよ」

「はい。存じております」



誰からどういう経緯でどのように存じたのか知らないが、大して驚く事もなく一つ頷いてみせた。どうやらあのゼブロとか言う末端の使用人はともかく、執事クラスの使用人にはフェイタンの人相はバレているらしい。
フェイタンが何も言わない間にも、カルトとカナリアは2言、3言会話をしそのままカルトがカナリアの横を通り過ぎようとした。そして、カルトに手をひかれるまま、フェイタンもそれに続いた。続こうと、した



「―――― 申し訳ありませんカルト様。」



ポツリと、蚊のように囁かれた小さな小さな声だったが、フェイタンの耳にはその声は届いた。そして、自分の後ろに一瞬のうちにさっきまで微塵と感じなかった明確な殺気を感じた



「奥様からの……っ命令です……!!」



鈍器のついたステッキで殴りかかってきたその攻撃を軽くかわし、振り向きざま眼の前に映ったその無防備な頸動脈を切り裂いてやろうとした時だった



「やめてフェイタン!」



後ろからカルトに勢い良く抱きつく様に押さえ込まれ、フェイタンの動きが若干鈍くなった。その僅かな間にカナリアが後退し、距離をとられる。しかし、フェイタンは獲物を仕留め損ねた苛立ちではなく、感嘆にも似た声で自分を後ろから押さえ込んでいるカルトに声をかけた



「反応早かたね」

「絶対やるだろうと思ったからね!!」



どうやら、カナリアの行動も、フェイタンの反撃もある程度予想していたらしい。しかし、カルトのその推測がなければ、カルトがフェイタンを妨害しなければ、あともうコンマ単位で遅かったら、カナリアは首から多量出血し地に倒れていたことだろう。首の代わりに、フェイタンの手刀をかすめたカナリアの髪が数本ハラハラと地面に落ちた。そんなカナリアを見て、カルトはフェイタンを抑えつけたまま冷静な声で言った



「カナリア、やめなよ。君じゃ僕の彼氏の首は取れないよ」

「………。」



気のせいか『僕の彼氏』と言う単語が若干強調されていた気がする。まぁ、彼氏を公言するために来ているのだから当然と言えば当然だが。



「………申し訳ありませんカルト様、フェイタン様。突然の無礼を、どうぞお許しください」



カナリアが体勢を整え、再び洗練された動作でお辞儀をしてきた。その姿に嘘は見られず、どうやら今度は素直に通してくれるようだった。そんなカナリアの謝罪を、まるで気にしていないとばかりにカルトが手を振った。と言っても、無礼と言うか、殺されそうになったのはフェイタンだけなのだが



「いいよ別に。お母様がこうしろって言ったんでしょ?」

「わたくしの攻撃を避けられもしない様な輩なら、屋敷につく前に始末しろと命じられておりました」





そんなやり取りのあと、カルトがフェイタンを連れて更に樹海の奥に進む。カナリアからだいぶ離れたところで、フェイタンはふと疑問に思い口を開いた











「にしても、意外だたね」

「何が?」

「お前が、私を止めに入たことがね」



そう、例えフェイタンの反撃を予想していたとしても、フェイタンがカナリアを殺したところで、たかだか使用人一人の命を助けるために、カルトがわざわざ止めに入る必要はない。こんなにだだっ広い屋敷なら、執事の一人や二人いくらでも代えが利きそうだし、カルトならば執事の一人や二人いなくなったところで気にしなさそうなのに。むしろ、フェイタンがカナリアを殺す場面を、フェイタンを観察する貴重な場面だとばかりに傍観していてもおかしくなかったのに。
もしかして、あのカナリアと言う執事に、何か思い入れがあるのだろうか。フェイタンはそう思ったけれど、その割にはカルトの声のトーンも態度も淡々としていた。フェイタンの疑問に、カルトは淡々と答えた



「あの子はお兄様のお気に入りだからダメ」




お兄様って誰だ。





そう思わないでもなかったが、それを聞くと話が長くなりそうだったので、フェイタンはそれ以上何も聞かなかった。

































そんなこんなで、深い深い樹海を歩き進むこと約30分、フェイタンはどういうわけだか畳が一面にひきつめられた奇妙な空間に正座させられていた。「和室だよ」とかカルトが耳打ちしてきたが、正直どうでもよかった。だだっ広い室内にはフェイタンたち以外はカルトとよく似た着物を着た妙齢の女と、胴着のような格好を男がいるだけで、他は誰もいなかった。最中、眼の前の上座に座った銀髪の男(カルト曰く、『父親』だそうだが、フェイタンは『父親?何それ』だった)が偉そうな態度で険しい表情で質問してきた



「君が、うちのカルトに手を出したフェイタン君か」



『君』とか付けるな気持ち悪い。


他人の眼とか評価とかどうでもいいが、明らかに歓迎されていない剣呑とした空気(特に変な機械をつけた女の方)の中にいるのはあまり気分のいいものではないし、相手の圧力じみた声色も気に食わなかった。そんなフェイタンの隣のカルトは、そんなフェイタンの機嫌の降下を知ってか知らずか、フェイタンの代わりに淡々と答えた。



「はい。お父様、お母様。見ての通り、僕には既に恋人がいます。ですから、僕は彼以外の男と結婚するつもりはありません」



うっわ気持ち悪。



あやうく声に出しそうだったがなんとか飲み込んだ。
あまりにも典型的な応答にも勿論そうだが、何よりフェイタンが気味悪がったのはそのカルトの態度の豹変ぶりだった。隣にいるカルトは、旅団にいる時と明らかに様子が違い雰囲気も違った。態度も声もよそゆきじみていて、普段のカルトを見ている身としては今隣に居るカルトは胡散臭くて白々しくて、『お嬢様になりきってる感』が半端なくて仕方がなかった



「フェイタン君」

「君はいらないよ」

「『フェイタン君だなんてそんな……。どうぞフェイタンと呼び捨てでお願いしますお義父さん』と、言っております」



誰がそんな事を言ったか。



『君』付けされた事実に寒気がして適当に言った言葉だったのだが、それもまた都合のいいようにカルトに翻訳されていた。しかし、フェイタンとしてはここにいる人間に一体どう思われようと全く気にならなかったので、そのまま黙ったままでいた



「………カルトちゃん」

「はい。お母様」

「そちらの方、旅団の先輩……と、言ったかしら?」

「はい。お母様」

「そんな方のどこがよかったの?」

「全部です。お母様」



あからさまに嫌味ったらしい『お母様』に、まるで面接…否、尋問に応えるようにカルトが応対しているのを、フェイタンは横目で見てひどくわずらわしく感じた。話す内容も勿論そうだが、『お母様』と話すカルトは本当に本当に異様なまでに完璧なまでに演技じみていて、フェイタンは少し不愉快になった。まさかこいつ、家でいつもこんな調子だったんじゃないだろうな。そうだったら酷く肩が凝りそうなことだと、フェイタンは少しだけカルトに同情した。



「フェイタン君。言い値を払おう」



そんな中、ふと上がった男の声に、母子の会話が自然と途切れた。そして、二人とも揃って男の方を見るので、フェイタンもそれにならった。上座の男は表情にも声色にも変化を見せないまま、続けざまにこう言った



「カルトから手を引いてほしい」



つまり、『手切れ金』と言うやつだろう。映画とかそんなのでしかないだろう古典的な手段に、まさか自分が陥る羽目になるとは。しかし、だからと言ってそんな相手の出た『穏便な解決法』など、フェイタンの機嫌が直る一端にもならなかった(言うか、それすらどうでもよかった)



「上限は?」

「ない。」



キッパリと即答する相手に、一瞬額を言ってやろうかとも思ったが、それはカルトの無言の威圧で阻止された。しかし、フェイタンとて本気で手切れ金をもらおうとした訳ではない。どんなに金を積まれようがフェイタンは頷く気はない。フェイタンにとって最重要なのは金ではなく、『団長命令』だからだ。
そんな理由で無言で居続けたフェイタンを見てどう思ったのか、男は重々しい声色でこう言ってきた



「………君は、カルトを幸せにする自信があるのか?」

「幸せ?」

「カルトは彼といれるだけで十分幸せですお父様」



怪訝そうな声をあげたフェイタンを遮るように、カルトがそう割り込んできた。
よくもまぁそう思ってもいない事をポンポンと吐けるものだ。いっそ感心する。
しかし、「はいそうですか」で穏便にことが済むわけもなかった



「………カルト」

「はい。」

「お前が見込んだ男だ。彼は、悪い男ではないのだろう」



盗賊に悪い男も何も。とか思ったりもしたが、あえてツッコまなかった。男は…父親は更にこう続けた



「だが、お前はそれ以前にこのゾルディック家の一員だ」

「………はい。」



明らかに、カルトの声が小さくなり沈んでいく。案外あっさり丸めこまれている様子が眼に見えていたけれど、それでもフェイタンは助けようとも思わずその様子を黙って見ていた。そして、駄々をこねていた子供に畳みかけるかけるように、父親は言う



「お前には、ゾルディック家の血を継ぐものとしての責任がある」

「………はい。」

「…………。」

「フェイタン君。君には悪いが、カルトとは別れてもらう。カルトには既に許嫁がいる」



その言葉に、カルトの眼が見開かれた。おそらく、初耳だったのだろう。候補こそ、話こそあったものの既にその婚約者が決定していたなどと、つゆも知らなかったらしいカルトは眼に見えて動揺の色を見せた。けれど、父親は意にも介さないようだった



















「――― 彼が、お前の許嫁だ」












そう言って、襖から現れたのは、フェイタンが知りもしない相手だった(当たり前だが)












「………リルーエ」

「久しぶりだねカルト」



苦々しく相手の名前を呟くカルトに、相手は余裕の笑みで微笑んだ。どうやらカルトの知り合いらしい。現れた少年はカルトと近いくらいの幼い顔をした子供で、カルトと髪色や髪質は違うが顔つきはどことなく似ていた。親族…分家か何かの人間だろうか



「薄々思ってはいたけど……君もしつこいよね」

「あぁ。でも、これで君は僕と結婚するしかない。カルトは拒否しない」

「嫌。僕は君と結婚なんかしない。僕にはもう心に決めた人がいるから」



どうやら、相手は元からカルトに気があったようだった。しかし、カルトは相手のことが嫌いなのか、どこか邪険にするようにそう言って、これ見よがしに少年の前でフェイタンの腕に自分の腕をからめて見せた。そんなチンケな見せつけではあったが、同年代である彼としては快いものでは無かったらしい。明らかに不機嫌そうな顔をして、男はフェイタンを睨みつけた



「……彼が、君の恋人?」

「そう、僕の生涯を誓い合う運命の人だよ。悪いけど、君の入る隙なんか無いよ」

「そんな男のどこがいいのさ」

「何にも知らないくせにフェイタンを悪く言わないで。フェイタンは凄くて凄くて、とにかく凄いんだから。君なんか足元にも及ばないくらい、とっても魅力的な人なんだから」



ちんけな言葉だが、とにかくフェイタンを絶賛するカルトに、相手は眼に見えて不愉快そうな顔をしてみせた。
そして彼はジロジロとまるで品定めするかの様にカルトの隣りにいたフェイタンを見たかと思うと、鼻で笑ってこう言った














「チビ」












一瞬だった。否、一瞬もかからなかった



リルーエの一言は挑発と言うか嫌味と言うか、その程度のものだったのだが、それはフェイタンの逆鱗に触れた。リルーエの首は一瞬で胴から切り離され、リルーエの首は血を撒きながら宙を舞い、そのまま畳の上にゴロリと転がり、畳を赤々と染めた。「まああぁぁ!!」と、どこか狂喜じみた声が母親の方から聞こえたが、フェイタンは気にも止めなかった。カルトが止める暇もなく、フェイタンはその転がり絶命した首を容赦なく踏みつけた。そして更に、そのただの肉塊となった首に、フェイタンはこう言った



「口の訊き方には気を付けるね。全く、これだから今時の餓鬼は………」

「ちょ、ちょっとフェイタン!!何て事するの!!」

「あ?何でお前がそんな事言うね。これが死ねばお前の婚約は破棄されるんだろむしろ喜ぶべきね良かたな」



全くそんな事を思っていないと分かる様な明白な口調でそう言って、フェイタンはそのままスタスタとその場を後にしようとした。いい加減柄にも無い事に身を置くのももう限界だったし、これでカルトの縁談は破棄となったのだ。これで自分の役割は終わりだとフェイタンは結論づけた。これ以上この胸糞悪い場所にいたくないとばかりに足早に去ろうとするフェイタンに、カルトは臆する事無く帰ろうとするフェイタンの手首を掴んでそれを阻止した



「ちょっと待ってよ!!」

「あぁ?」

「何で殺しちゃったの!!大人しくしててって言ったのに!!」

「だから何でお前がそんな事言うね。お前、婚約嫌だたんだろ」



イライラしている中、そんな煩わしい事を言われて、ただでさえ短気なフェイタンのイライラは更に募るばかりだった。しかし、カルトはそんな事気にもとめなかった



「そうだよ嫌だよ!!でも、お父様もお母様も、僕の幸せを思ってしてくれたんだよ!?無下に出来るわけないじゃない!!」

「――― 幸せ?」






怒りの赴くまま、その首をはねようとした。

しかし、寸でのところで『団長命令』と『旅団のルール』を思い出し、その胸倉を掴むまでに留まった。引き寄せたその顔を、フェイタンは凄みを利かせて睨みつけた



「さきからどいつもこいつも訳分かんない事言いやがて……。いちいち説明しなきゃ分からないか?」



顔を恐怖にひきつらせているカルトに、フェイタンは低い、低い声でこう言った


































「―――― お前は、お前の力で幸せになるべきね」
























恐怖に染まっていたカルトの顔が、その言葉にぱちくりと眼を瞬かせた。













意外な事を言われたような、そんな顔。しかし、フェイタンにはそれが、何故分からないのか意味が分からなかった。
相手に、他人に与えられたものばかりに囲まれ、それに不満を示すなら自分で選んだ幸せを掴みとるしかない。そんな単純明快な事実が何故分からないのか。そもそも盗賊集団である旅団に入った時点で、そんなこと分かりきっていると、分かった上で入団していると思っていたのにここまで子供だったとは。フェイタンは隠す素振りもなく舌打ちした。

カルトの幸せなど、勿論フェイタンには分からない。けれど、こんな家でこんな他人と、しかもあんなお嬢様の様な気味の悪い演技を延々続けて暮らしていくだなんて、少なくともフェイタンには幸せには見えなかった。自分を偽って生活することの何が楽しいのかさっぱり分からなかった。
本来のカルトは違う。少なくとも、フェイタンの知っているカルトは入団当初から愛想がなくて、生意気で、可愛げのないガキだった。ヒネている割には根は素直で、ちょっとからかっただけでも面白い位反応する子供だった。それがフェイタンの知っているカルトで、それがフェイタンの知っている本来のカルトの姿だった。こんな、他人の顔色を窺って完璧な愛想笑いを浮かべるような子供ではない。








そんな苛立ちを、溜まりに溜まった鬱憤を全てフェイタンの迫力に声が出ないのか、カルトが眼を見開いたまま何も言わずにいると静かに口を開いたのは、静寂を破ったのは、カルトの父親だった



「フェイタン君」

「あ?」

「君は、カルトを幸せに出来るか?」

「カルトの幸せはカルトが勝ち取るものであて、私が与えてやるもんじゃないね」

「………では、君の誠意を知りたい」



そう言って父親は、一枚の紙切れを取り出した。リルーエを殺してカルトに当たったばかりだったので、フェイタンのストレスはある程度解消されていたのでフェイタンはその父親の行動をただ黙って見ていた



「これにサインをしてほしい。出来るか?」


一枚の紙切れ。そこには『婚姻届』と書かれていた。



その紙に、フェイタンは意味が分からず眉を潜めたが、何故かカルトは焦りの色を見せた。と言っても、先ほどとは少し違う。顔を真っ赤にさせたり青くさせたり100面相をしながら、カルトはなんとかもがいてフェイタンの手を振りほどくと、慌てて父親に駆け寄った



「ち、っちょっと待ってくださいお父様!!いきなりそんな……!!」

「君、カルトを本当に愛しているのか?君ほど有能な人間なら、これから星の数ほどの女が言い寄ってくるだろう。それでもこれから先、カルト以外を愛さないと誓えるか?」

「や、やめてくださいお父様!!カルトはまだ10歳です!!そんなものを書いても……!!」

「勿論、カルトが16歳になるまでこれは私が責任を持って保管している。どうだフェイタン君」



カルトが必死に父親を止めようと口を挟むが、彼は意に介さなかった。ただまっすぐ、フェイタンを見ていた。フェイタンも特に顔をそらす理由もなかったので、その視線を真っ向から受け止めていた。父親は言う




























「君に、生涯カルトを愛する覚悟があるか」


































「………。」



フェイタンは、何も言わなかった。


ただ、つかつかと父親の元に歩み寄ったかと思うと、出された紙を始めて見る物の様にしげしげと眺め、差し出されたペンを掴んで何の躊躇いもなくサラサラと自分の名前を記載した後、その紙をポイッと放って、そのままスタスタと和室を後にして今度こそいなくなった。そのあまりの適当さ加減に、そのあまりの行動に、カルトは和室の襖がピシャリと閉まるまで、反応することが出来なかった



「………え?っえぇ!?ち、ちょっと待って!!フェイタンッ!?」

「何をしているカルト、お前も書きなさい」



そう言って追いかけようとしたカルトの腕を掴み、カルトが振り返った先には一枚の紙切れ。その突き出された紙きれ一枚に、カルトはこれ以上ない脅迫観念をかられた


































何とか両親との会話を丸く収めた後、カルトはスタスタと帰路についていたフェイタンを猛ダッシュでその背を追いかけ距離を縮めた。何分本気で走ったものだから、柄にもなく息切れしながらもカルトは息を整えるのもそこそこにフェイタンに堰切ったように話しかけた。フェイタンが何故あんなことをしたのか、真意を確認せずにはいられなかった



「ちょっ、ちょ、待ってフェイタン落ち着いて……!?」

「お前が落ち着け」

「じ、自分が何したか分かってるのフェイタン!?何で名前書いたの!?」

「あぁ?あんな紙切れ一枚に一体何の意味があるね」



もうどうでもいいからさっさと帰りたかったと言うフェイタンに、カルトは唖然としてあんぐりと口を開いたがフェイタンは振り返りもしなかったのでその顔を拝むことは出来なかった。勿論、『婚姻届』に名前を書くと言うことはどういうことなのか、フェイタンも知らない訳では無い。しかし、と言うか正直、フェイタンとしては、法律に守られず縛られず育ってきた彼としては、『結婚』も『婚姻届』の意味もあまり重要性を見いだせなかったし、文字通り『ただの紙切れ一枚』としか認識できなかったのだ。



しかし、カルトはそうではなかった



「……で、でもフェイタン。あれ……」

「そう言うお前はどうね。名前書いたのか」

「………。」

「………あ?」

「………か、きました」

「ふぅん。やぱり流されたか。お前、そんなんだからあいつらの良いようにされるね」

「っお父様とお母様を悪く言わないで!!……ってそうじゃない!!どうするの?お父様、僕が16歳になったらあれ、出しに行くって……!!」

「そんなん私知らないね」

「そんな他人事みたいに……!!」

「―――じゃあ、お前が16歳になるまで、あいつからあの紙切れ奪える位実力つければいいだけの話ね」



お前はまず、そこから始めろ。否、あれらから離れろ。
暗にそう言ったつもりだったのだけれど、カルトはまるで無理難題な課題を出されたかのように絶望が混ざったような途方にくれたような顔をした



「そ、そんな無茶苦茶な……」

「まぁ、私は構わないけどね。でもそしたらお前、6年後私と結婚よ」

「………っっ!!」

「それが嫌なら精々頑張る事ね」



口をパクパクさせて、追いかけてこなくなったカルトに振り返る事なくフェイタンは置き台詞の様にアヒャヒャと笑い声を残して、とっととその場を立ち去りククルーマウンテンから姿を消した。後ろから他にどうすることも出来ず、すごすごとついてくるカルトを、一度も振り返りはしなかった。きっと振り返ったら、確実にまぬけな顔を晒しているだろうと思ったから、分かりきっていたから、振り返ろうとも思わなかった。














だから、その時のカルトの表情を、フェイタンは知らない





その時のカルトの感情を、フェイタンは知ることも出来なかった

















*************************




『団長命令』って便利ですよね!!!!←






久しぶりにあげたのがこんなのでごめんなさい適当にもほどがあるお久しぶりです白菊です

5/4のスパコミサークル参加してきました。もう緊張しました。とにかく緊張しました。文庫本読んで気を紛らわしていましたがもうホント精神的に死ぬかと思いました。ついた瞬間からもう帰りたくて帰りたくて……←
まぁスパコミ開始早々30分でサークル席離れて買い物に出ちゃったんですがねテヘww←
鬼徹の白桃がめっちゃ並んでて買えなかったです白桃マイナーだし大丈夫だろすぐ買えるだろとか思ってたけど人気甘く見てたわ……( ; ゜Д゜)
でも、憧れのフェイカル女神様とお話しできたし見目麗しいコスフェイタンとコスマチを拝めたし白菊のコピー本買ってくださった心優しいかたとかいたので凄く嬉しかったし楽しかったです。でも、せっかく買ってくださったのにまともに対応出来なくてごめんなさい……もう色々キャパオーバーだったんです……orz
帰りは段ボールひっくり返しちゃったらコス緑間さんが助けてくれてときめいたり一緒にサークル参加してくれた女神様とアフターにご飯行ったり乙女ロードでフェイカル同人誌探しに行ったりして凄く楽しかったです(*´∀`*)
もうサークル参加したくないけどハンターオンリーにはサークル参加したいです。私的にフェイカルコピー本の他、シャルパクコピー本布教出来たらなーとか企んでます。しかし、しばらくはまたプログに小説あげていけたらいいなーと思いますネタないですがね!!それではそれではまたよろしくお願いいたします!!





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  1. 2014/05/16(金) 13:06:02|
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