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狂乱壊
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死してなお、傷はあるのか

『死してなお、』シリーズの続きその⑥
※残虐表現・シャル→パク表現あります注意










少女の……カルトの監禁生活が始まってから数日後の事。



カルトがパクノダと寝食全てを共にするようになってからの事だった。





















二人が寝静まった頃、フェイタンは拷問部屋からこっそりと抜け出してシャルナークの部屋を訪れていた。
彼の部屋を訪れた理由はただ単純に、カルトを監禁するようにと指示してから何の音沙汰も寄越さないシャルナークに、「いつまでこんなつまらない監禁をさせるのだ」と文句を言いに行くためだった。

部屋の戸を叩くと、シャルナークは深夜遅くにも関わらず起きていた。
普段はかけていない眼鏡をかけ、パソコンで何かを見ていたようだった。
「やぁ」と爽やかに声こそかけてくるものの、その眼には隠しようもない隈が浮かんでいる。
その酷い顔に出鼻をくじかれたような気がして、優男が台無しだとどうでもいいことを思った



「どうしたの?て言うかあの子の監視は?」

「パクと一緒に寝てる。問題ないね」

「……ちょっとフェイタン、まさかパクをこき使ってないよね?」

「使てないよ。そもそも、パクに『あの子供から離れるな』て言たのお前ね」

「もう忘れてよそれは………」



あれは失言だったとばかりに、苦笑気味にそう言う。
そんなシャルナークの眼の前にあるパソコンの画面を、フェイタンはなんとなしに覗きこんだ



「何してるね」

「見るかい?あまり気持ちいいもんじゃないけど」



そう言って、パソコンに映っている数あるフォルダのうちの一つをクリックする。どうやら、それは映像のようだった。


























それは、虐待ではなかった。


それは、拷問ではなかった。






虐待と言うには生ぬるく、拷問と言うには度が過ぎていた。
それは、その映像は、殺す動作の繰り返し、死ぬ動作の繰り返しだった。

撲殺・絞殺・刺殺・斬殺・銃殺・毒殺・殴殺・飢殺。

そんな無限の殺戮方法が何度も何度も繰り返し続けて行われていた。
ただ、そんな無差別的な殺害方法の中、対象となっているのは、殺されているのは全て同じ少女。
あの、拷問部屋に監禁しているカルト……『不老不死の少女』だった。

おそらく、その映像があの『不老不死の少女』と共に付属されていたUSBメモリの中身だろうということは容易に予想できた。




異様な光景だった。

少女は実験室と思われる質素な部屋の中、何度も何度も殺されては息を引き取り血を流し死んでいった。
けれど、時間がたてば必ず血溜まりの中で息をふき返し、何度も起きあがる。その繰り返しだった。
そして、頭の中でその回数を数える事が億劫になるほどの死亡が続いた後、まるで一区切りのように事務的な声が流れる。



『~月~日。本日の実験により10000回以上の死亡後も変わらず生き返る事から、蘇生回数に限界はないと結論づける。しかし、一度目の死亡からの蘇生と*度目の死亡からの蘇生には蘇生するまでの時間に1分以上の差が生じる。また、殺戮方法や身体損傷状態によっても再生・蘇生するまでに差異が生じる』



そこで、その映像は終了した。

そして、次のファイルでは自殺を促す実験が取られていた。



『~月~日。本日は自殺による死亡に対する蘇生への実験を行う』



それも実に事務的だった。少女はアナウンスの促すまま、自ら頸動脈にナイフを当てて死んだり、舌を噛みちぎって死んだり、自ら毒を摂取して死ぬなど。自殺の強要シーンが相次いで続いた。
けれど、それもやはり結果は同じだった。何度繰り返しても、少女は変わらず死に続けても生き返り続けた。
そして、その実験が終わるとどこか興奮を抑えきれないような声が響いた。



『~月~日。自己損傷による自殺でも、蘇生回数に限度は無し。それどころか、毒物及び病原菌接種後の蘇生後の検査結果から、被検体は毒物が無効なのではなく体内で抗体を作り出した後に蘇生していることが分かった。通常の人間ではワクチン接種後に抗体を作り出すには最低でも数日かかるのに対し、被検体は死亡から蘇生までの数秒の内に既に体内に抗体が出来上がっている。この実験結果から、医療の現場においても被検体の活躍が期待できる。……素晴らしい』



何が「素晴らしい」だ。



フェイタンは内心でおもわずそう毒気づき、そんな研究者達にも吐き気がしたが、彼ら以上にそんな強要を安請け合いして自殺と死亡を淡々とこなす少女の方がひどく異常に思えた。
しかし、それを全部見せるつもりはないらしい。シャルナークがマウスをクリックすると、ブツリと映像が途切れ画面が真っ暗になった



「全部こんなかんじだよ」



どこか苦々しげに、そう呟く。
どうやら、シャルナークはメモリに入っていた実験データ全てチェック済みらしい。USBに保存されているデータがどれほどのものかは知らないが、それ相応にあるだろう。まさかずっとこんな映像を見続けていたのだろうかと思ったけれど、そう聞くのは野暮だろう。目尻を抑えるシャルナークの顔は明らかに疲労していた



(……にしても、)



「お前がこんなの見るなんて意外ね」



確かに、旅団にいるのだからある程度の残虐行為をするのも見るのも違和感はないし抵抗もないだろう。
けれど、進んでこんな映像を見る趣味がシャルナークにあるかと言うと、当然ない。
長い付き合いだが、少なくともこう言う映像を進んで見る趣味はなかったはずだ。
なんならこういう映像を見慣れている自分に任せてくれてもよかったのに。

けれど、シャルナークは平然と言ってのけた



「パクの命がかかってるんだ。当然だろ」



「自分の眼で確かめなければ気が済まない」。そう言ったシャルナークの眼差しは強かった



「パクの身体の状態が分からない以上、少しでも役に立つ情報があればいいと思ったんだけど……」



「でも、あんまり意味なかったかも」と、目尻から眼を離し、眼鏡をかけなおすと厳しい表情で言う



「………どういう意味ね」

「このデータの中のどこを見ても、パクみたいにあの子に生き返らせられた奴はいなかった」



少女の自傷と自虐、自殺の映像を見続けたけれど、どの映像にも、少女が人を生き返らせるどころか、あのパクノダに飲ませたピンク色の血すらどこにも映っていなかったという



「あの時見たピンク色の血が、パクノダを生き返らせた血なのは分かるんだけど、それだけしか分からない。やっぱり、彼女から事情を聞く以外方法はないみたいだね」



そう結論づける。八方塞がりだと思っていると、シャルナークが椅子をクルリと回してフェイタンを振り返る。そして、静かに問う



「………拷問したい?」



「あの子を」と、そう問う








「………いいや」



少し間を置いて、フェイタンはかぶりをふった。そんな事をしても無駄だということは、今見た映像で十分に分かった。
あの映像が嘘偽りない真実なら、あの子供にとって拷問など、もはや恐怖の対象にも自白するにも値しないものだろう。
ならば時間と労力の無駄だ。フェイタンとしても、無反応だと分かりきっている相手を拷問するなど酷く気が削がれることだった。



それよりも、と。

フェイタンはいつになく疲労しているように見えるシャルナークに、ガラでもなくいたわる様に声をかけた



「………シャル、あんまり根つめるなよ」



パクノダは確かに大事だ。けれど、その為にシャルナークが自身の身体を壊しては意味がない。
そう思って言ったつもりだったけれど、シャルナークはあまりその助言を聞き入れる気はないようで、少し噛み合っていない、少し食い違った返答をしてきた



「分かってる。ちゃんと除念師も探すさ。団長も助ける。パクノダも助ける。二人とも死なせない」



「絶対に。」そう言って、固い声で誓うように言う。
そんな見た事もない雰囲気をしたシャルナークを思わずしげしげと見つめる。
意外だった。いつも落ち着いていて理性的なこの男が仲間の為にこんな―――





そこまで考えて、フェイタンはふとその違和感に気付く。








……否、違う。


これは、





このシャルナークの眼は―――、












「まさかお前、パクのこと……」



そう思わずフェイタンが呟くと、シャルナークはどこか皮肉げに笑う。それはおそらく肯定なのだろうと、フェイタンは思った



「不安なのは、君だけじゃないよ。フェイタン」





そう、誰も

表にこそ出さないけれど、きっと皆どこか不安なのだ。

パクノダは、今でこそ五体満足の健康体だが、あの少女の…カルトの能力の詳細はまるで分からない。
つまり、パクノダの身体がどうなっているのかも、分からない。

彼女が生きているのはカルトの機嫌次第なのか。
それともカルトが今度死ぬまで死なないのか。
単純に今度パクノダ自身が殺されたら死ぬのか。
それが分からない以上、最悪、今この瞬間、次の瞬間にはパクノダが何の前触れもなく死んでしまってもおかしくはないのだ。
しかし、その拍子にパクノダが二度と生き返らない可能性だってある以上、実際にカルトを拷問し、殺害し、それ実験する訳にもいかない。

フェイタンでさえ気づいているその可能性を、聡明なシャルナークが気づいていないはずがない。

それに、気づいていて、だからこそ焦っていて、だからこそ周囲が思っている以上に追い詰められていて、そしてひどく恐れている。再びパクノダを失うことを









そして、誰よりも、


パクノダ本人が、きっと。








パクノダがカルトの元に通うのは、カルトに感謝し、カルトを気に入っているからだけではない。
自分の命の灯火が、ひどく不安定で危ういものなのだと、ぼんやりと消えかけている蛍の光にも似たひどく儚いものなのだと言うことに気付いている。そして、ずっとそんな状態である自分に、そこから抜け出すことのできない現状が不安だから、パクノダはカルトの元へと通う。
大人であるが故に、単純で幼稚ではないが故に、自分はただ生き返ったのだと、何の代償もなく生き返ったのだと思いこむ事も、割り切る事も楽観視する事もできないパクノダは、それを必死で紛らわし、隠そうとしている。その中でも自分が出来る事を見つけて、出来る事をしようとしている。
そんなパクノダに気づいているから、シャルナークもこんなに必死なのだ



「――― また失うなんて、冗談じゃない」



不安だけれど、うかつに動けないから安穏を演じるしかない。
けれど、その安穏が続くとともに、不安は日に日に大きくなっていくから追い詰められていく。
眼の前の疲弊したシャルナークはそれを体現しているようだと思った。
けれど、そこはシャルナークだ。その重い一言の後、まるで誤魔化すように、悟られまいとするように、付け足すようにいつものように柔和に微笑む



「だからフェイタン。もうしばらくあの子の監視をお願いしたいんだ。あの子の情報がない以上、やっぱりあの子から事情を聞くしかない」

「………分かたよ」

「悪いね」

「それはもう別にいいね、それよりシャル」

「何?」

「パクに惚れてるなら、ちゃんと伝えろよ。このままだと―――」












『――― 同じ鉄踏むことになるよ』





そう言いそうになってやめた。



それを口に出しては言えなかった。








もう充分、シャルナークは追い詰められ、悩んでいる。
これ以上負担をかけるつもりはなかった




「………とりあえず、カルトの監視を続けるよ」

「カルト?」



聞きなれない名前にいぶかしげな声を上げるシャルナークに、そう言えば自分とパクノダ以外、誰にもあの少女の名前を教えていないのを思い出す。なので、フェイタンは簡潔に説明した



「あの子供の名前ね」

「ふーん。誰が付けたの?」

「一応私ね」

「そう。……大方、『不老不死なんてオカルトちっくだから』。とか思ったんだろ」



正解だ。けれど、それを素直に認めるのは癪だったので、ボソリと付け加える



「………でも最終的にその名前にしようて決めたのはパクだからな」

「ナイスチョイスさすがパク」

「おい」



軽口に軽口で返し、そして爽快に笑う。いつものシャルナークだ。
ただ、いつもよりどこかパクノダに擁護的なのは、秘めていた自分の想いがバレてしまったので、遠慮していないせいなのだろうか。
……まさか知的なフリしながら内心いつもそんなことを思っていたんじゃないだろうな。ちょっと意外だ。



















――― それはそうと







(………不老不死)



断片的に見た、カルトのデータ……過去を思い出す。

『不老不死』。それは、幼ければそれなりに憧れ、多少なりの夢を持つかもしれない。
けれど、大人になり冷静になり長い眼でモノを見れるようになると、その残酷さが良く分かる。

何があっても死ぬことはなく、何度繰り返しても終わることはない。
それが、どんなに苦痛なことなのか。






だから、今の映像を見た時の気持ちは、どこか納得に似ていた。
カルトがしゃべらない理由も、全く表情がない理由もこれではっきりした。
あれだけの残虐を繰り返されて、理性を、感情を保てるはずがないのだ



「………。」



その納得から更に生まれたこの感情を、その時の感情を何と呼ぶのか、どう表現したらいいのか、その時のフェイタンにはまるで分からなかった。







ただひどく、気分が悪かった。























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  1. 2014/06/08(日) 20:05:24|
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