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狂乱壊
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死してなお、幼稚なのか

『死してなお、』シリーズの続きその⑦
※ちょっとグロい?かも注意









それは、驚きだった。











パクノダがいない時、拷問部屋で一人でカルトの監禁をしている時だった。





監禁。とは名ばかりの、ただその場にいるだけの、簡単どころかつまらない仕事。
フェイタンはただ本を読んでいて、カルトはただそこにうずくまっていた。

いつもの、そう思えるくらいの月日がたった頃

そんな中、珍しく鎖の音がした。



鎖の……手錠の音だ。

その音を聞きなれているフェイタンには耳を澄まさずとも何の音か分かった。
しかし、手錠の音がするのは、非常に珍しいことだった。
手錠の音がする。と言うことは、それはつまりカルトが動いていると言うことだからだ。

けれど、鎖の音からして、それは移動ではなくその場でもぞもぞと動いているだけの様だったので、フェイタンは眼を向けることもせずほっといた。
カルトに逃げる気はない。それはこの2週間余りの監禁でフェイタンは十分理解できていた。
けれど、手錠の音はやまない。最初は姿勢を正しているのかとも思っていたけれど、どうやらそうでもないらしい。じゃらじゃらと、ちゃらちゃらと、鎖のすれるわずかな音はフェイタンの耳に届き続けた。けれどやはりフェイタンは顔をあげようとはしなかった。


フェイタンが顔をあげたのは、読んでいた小説に一区切りついた頃合いだった。
それまでずっと鎖の音がしていたのだけれど、していたのも気付いていたけれど、感知しつつも放置していたフェイタンは、何も考えずふと顔をあげて、顔には出さなかったけれど、ギョッとした。

















カルトの周囲の壁一面に、黒い絵が描かれていた。







黒々と、でかでかと、まるで怨念のように黒いペイントで塗りつぶされた絵。
否、違う。拷問部屋の壁に塗りたくられたそれは、ペイントではない、絵の具ではない。第一そんなもの拷問部屋には置いていない。ならばそれは何か。簡単な事だった。




それは、人間の血液、つまり酸化した血だ。



その血はどこから出てきたのか。簡単なことだった。



カルトの指から血が出ている。
自分の手から僅かながらに、染み出るような血を拭いとっては壁にらくがきをしている。
カルトの赤々とした血が、時間を帯びて黒く変色していくのを、、フェイタンはしばらく何も言わず黙って見ていた。
書いているのは、子供が描くようなお粗末な絵。
だが、場所が場所なだけに、書いている絵の具代わりが代わりだけにその分怖い。精神的にくる。フェイタンでなければ悲鳴の一つもあげていたかもしれないくらい、カルトは幼稚に幼気に異常なことをしていた。


しかし、フェイタンが自分の行動に気づいたにも関わらず、気づいた事に気づいたにも関わらず、カルトは一向として落書きをやめなかった。
チラリとフェイタンの顔を確認した後、また壁に目を向けて書き続ける。
カルトが壁に向かって手を伸ばし、血をこすり付けるたびに鎖がジャラジャラと音を立てた。
先ほどからの鎖の音はこれかとフェイタンが納得していると、ふいに唐突にカルトの手が止まる。
そしてジッと、出血していた……絵の具の、筆代わりに使っていた指を見ている。
おそらく絵の具代わりの血液が、その血が体から吹き出るのを止め、血液が凝固し固まったのだ。



カルトが親指を見る。そして浅かった傷をえぐるように更に歯で噛んだ。



再び突き破られた傷口からは新たな血が吹き出す。
カルトは顔を歪めることもなくそれを再び絵の具のように壁につける。
一つも歪まないその顔は痛みを感じていない様子だった。
フェイタンはその様子を、ただ黙ってみていた。



「………。」



パクノダの時もそうだが、カルトは自らを傷つけ血を流すことに抵抗はない様子だった。
『不老不死の娘』はもしかしたら痛みなどないのかもしれない。
そんな、参考になるのかよく分からない情報がフェイタンの頭の中に入った。





そして、フェイタンはやっと傍観をやめて行動に移った。
ゆっくりと立ち上がり、数歩歩いてカルトに近づく。
狭い拷問部屋では、それだけでカルトに近づくには十分だった。


無造作に、落書きを続けようと動く腕を掴む。
カルトがフェイタンを見る。
フェイタンはカルトではなく彼女の腕を見ていた。
酷く細い腕だった。肉と言うよりは骨だ。そう思うくらいの。



「やめるね」



静かにそう言うと、呆気なく手が壁から離れる。
傷ついたはずのカルトの指を凝視していると、そう間もなくその指の傷はじわじわと塞がった。
塞がったのを確認してから、フェイタンはその手を離す。
カルトの手にはもはや力は入っておらず、だらんと垂れ下がった



「もうやるな」



カルトが、叱咤ですらない迫力もない発言を聞くなんて正直思わなかった。
けれど、一言言わずにはいられなかった。






パクノダが戻ってくると、壁に描かれた落書きを見て案の定ギョッとした顔をして見せた。
けれどフェイタンは詳細を話すことなく、一旦カルトを彼女に任せた。
意表を突かれたような顔をしていたパクノダは、フェイタンのその言葉に不思議そうな顔こそしたものの、とりあえず詮索はせず了承してくれた。釣られて、カルトもどこか不思議そうな顔をしていたので、一応「逃げるなよ」と釘を刺して外へ出て、軽く地面を蹴って全速力で暗闇を駆け抜けた。











ものの数分で拷問部屋に戻ると、いつものようにしきりにパクノダに話しかけられながらも、無反応を続けるカルトがいた。
カルトの前に立つと、フェイタンは無造作に盗ってきたらくがき帳とクレヨンを落とした。
それを見たカルトが無表情でこちらとらくがき帳を交互に見るので、一言付け足した



「今度からそれに描くね。壁に描くな」



そう言って、少し驚きの表情を見せるパクノダを無視して、フェイタンは再び自分の指定席で読書の続きに戻った。
パクノダがどこか、優しい眼でこちらを見ていたのには気づかないふりをした。


別に、ただ自分は、自分のテリトリーである拷問部屋が汚されるのが嫌だっただけだ。
ただ、それだけだ。




別にパクノダにそれを言うつもりもないし、カルトにも、言う必要はない。そんな言い訳がましいこと。




そう思い、フェイタンはただ盗ってきたらくがき帳とクレヨンをカルトの前に落としたのだ。














後日、パクノダがそのらくがき帳を使って文字を教えたりしていたりするのだが、それはまた平穏に映る光景だった。



































****************


一応、不老不死カルトちゃんは腕を前に持ってきた状態で何重の手錠をかけられている設定なので、お絵かきくらいはできます


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  1. 2014/06/09(月) 10:44:59|
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