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狂乱壊
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死してなお、壊すのか

『死してなお、』シリーズの続きその⑨























「――― もっとくるしめ」





















可憐な美少女が最初に発したのは、そんな呪いのような言葉だった。

























それは、前ぶれなく起きた。


いつものようにいつもと同じ
そう、何もなかった。と、思う。



フェイタンは本を読んでいて、パクノダはカルトに構っていて、カルトはただパクノダにされるがままになっていた。















そんな最中、突如そんな声が響いた。





響いた声が誰のものか、すぐには分からなかった。


フェイタンはその声に思わず本に向けていた顔をあげ、パクノダは思わず言葉を飲み込んだ。





低く低く、しわがれた老婆のような、老獪な魔女のようなおどろおどろしい声。
まるで呪うような恨むような重々しく響く声と同時に、その幼い口が動いていた。
何年も何十年も使われず、噤んできていたような乾いた声。
そんな声が、美しいとしか形容できないカルトから発せられていることに、二人ともすぐには理解できなかった。

しかし、そんな声で、パクノダを見て、パクノダに対して、カルトは言い放った



「後悔し続けろ。この死に損ない」



そう、カルトは言った。


表情こそ動いていないものの、その眼は、どこか嘲笑うかのようだった。
































次の瞬間、カルトの身体は吹っ飛んだ。
吹き飛ばしたのはパクノダではない。フェイタンだった。



フェイタンがカルトを殴ったのは、その発言が気にいらなかったのもある。
けれど、それだけではない。








カルトのその眼を見た時、フェイタンは気付いた。
カルトが気付いていることに、気付いてしまった。















――― そう、カルトは気付いている。






パクノダの抱えている不安に。
パクノダが感じている死への恐怖に。

『いつ死ぬか分からない』『自分の身体がどうなっているのか分からない』。そんな恐怖と不安に。それを抱えてパクノダが生きていることに気づいている。
そんな中、パクノダが脅えを隠し、震えを隠し、追い詰められていることを隠し、気丈をはっていることに気づいている。



気付いている。気付けるだけの自我を有していた。
なのに、その上で、何の反応も返さない。返そうとしなかったのだ。


そう思うと、フェイタンの頭にカッと血がのぼった。



分からないモノに翻弄され、わけの分からない制約を教えられもせず誓約される。
そんな中に放り出され、戸惑うパクノダの姿は酷く、このカルトには滑稽に映っていたことだろう。
パクノダに何も言わなかったのは、見えぬところでそんな彼女を笑っていたのか。
パクノダを生き返らせたのは、そんな彼女を見て楽しむためだったのか。








そう思うととてつもなく不愉快だった。














そんなカルトをぶん殴っても、誰も文句は言わないだろうと思い、フェイタンは感情の赴くままそのカルトをぶっ飛ばした。そんなことをヌかした、パクノダの気持ちをもてあそぶ子供のツラをぶん殴ったところで、一体誰が自分を責められるだろうか。そう思った。

殴られようとしていることに気付きながらも、カルトは相変わらず攻撃を避けようともしなかった。
カルトはそのままフェイタンの拳をもろにくらい、その軽い身体は簡単に吹っ飛んで、拷問部屋の床を擦れ続けて止まった。



暴言を吐かれたパクノダと言えば、呆然としていた。
けれど、次の瞬間には我に返って慌ててフェイタンを止めた。
その顔は冷静こそ装っていたものの、明らかに狼狽していてこわばっていた。


カルトを殴っても、フェイタンの怒りは収まらなかった。
パクノダが止めるのも無視し手近に放ってあった長い鎖を掴んでカルトの身体を口をぐるぐるに巻いた。
カルトの身体をがんじがらめにした後、フェイタンはパクノダを振り返るが、何と言ったらいいのか分からず結局無理やりその腕を掴んで、パクノダを拷問部屋から追い出した。



























バタンと閉めた拷問部屋には、冷たい沈黙だけが籠っていた。
















けれど、そんなことをしても既に遅かった。





カルトがパクノダに言った言葉も、パクノダの受けた侮蔑も、決して消えることは無い。
パクノダを庇ったことにも、慰めたことにもならない。
嫌な空気が、拷問部屋を包んでいた。












何かを壊された気分だった。
恩を仇で返されたような気分だった。
何かを、大切なものを、積み上げてきたものを、台無しにされた気分だった。






フェイタンは、まるで行き場のない怒りをぶつけるかのようにカルトを睨みつけた。






カルトの……少女の眼はもう笑っていなかった。
まるで、今の出来事が悪い夢だったような、そんな錯覚さえ起こさせるほど、少女はいつものようにおとなしく、何も言わず、何もせずにそこにいた。




































――― その眼はただ、いつものように、いつも以上に 虚ろだった。

































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  1. 2014/06/11(水) 21:21:29|
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