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狂乱壊
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死してなお、涙は流れるのか

『死してなお、』シリーズの続きその⑫


















「ありがとう」と微笑んで言われた時の気持ちは、まるで裏切られたようだった



























パクノダが部屋を出たのは、フェイタンが部屋を出た30秒後のこと。


重い扉を開けて、拷問部屋から出てきたパクノダに対し、フェイタンは「もういいのか」と眼で確認する。
するとニッコリと微笑んで「えぇ。ありがとう」と礼を言われた。
室内で何があったのかはフェイタンは知らない。
物音は聞こえず、パクノダが話しているのは聞こえたが、内容までは聞き取れなかった。
けれど、どこかすっきりした顔をして微笑むパクノダを見る限り、きっと満足したのだろうと思うことにした。



だから、パクノダが出て行った後、フェイタンはその後ろ姿を見送るまでその場から動こうとしなかった。








しかし、パクノダの姿が見えなくなり、その気配が消えてすぐだった。





































――― 拷問部屋から激しく鎖の音が鳴り響いた。











その音に、フェイタンは反射的に身を翻して拷問部屋の中を覗き込んだ。そして、呆気にとられた。




カルトが、鎖の中で暴れていた。
今まで、何をされても何をしても反応を見せなかったカルトが、全身の力を振るい鎖の中で暴れていた。
本来なら、カルトのような子供に力ではそのブ厚い鎖の拘束を破るなど到底不可能なことだった。
けれど、暴れるごと締め付ける鎖に圧迫されても、もがいた挙句鎖が肉が食い込み血が流れても、カルトはお構いなしだった。


皮膚をずる剝かせ、肉をえぐり削りながら、血のぬめりの力も借りて、カルトは無理やりがんじがらめにされていた鎖の中から脱出した。


けれどその後も、カルトは暴れるのをやめなかった。
意味のわからない声を、獣のように雄叫びをあげては自虐を繰り返す。
力任せに壁を叩き、爪で引っ掻く。元々か弱い肌と皮膚は一気にめくれ、毎日パクノダが整えていた形のよい爪は割れてめくれ剥がれて、剥がれた跡からは血が噴き出した。
一気に噴き出した血は瞬く間にカルトの幼い手を染めあげ真っ赤になった。それでもカルトは暴れ続けた



「あー!!あー!!ああああああぁぁーーーーーっっ!!!!」



まるで、その程度の自虐など歯痒いと言わんばかりに、悔しいとばかりに、今度は全身で壁にぶつかり始めた。
ぶつかることさえ加減を知らないのか、壁にぶつかった直後カルトの身体と壁の間に挟まった腕が妙な形につぶれて青紫に腫れ上がっていた。
同じく勢いよくぶつけた頭からは出血で勢いよく噴水のようにあふれ出て、血がしぶきのように拷問部屋の床に撒き散らされた。



それでも、まるで檻に入れられた野生の獣のように、カルトは暴走をやめようとはしなかった。









そんなカルトの様子を見て、考えるより先に身体が動いた。




暴れるカルトを無理やり後ろから押さえ込んで、壁にぶつかるのをやめさせる。
けれど、全力で暴れるカルトの力は存外強く、抑え込むのは想像より容易ではなかった。
しかも、次の瞬間には離せとばかりにカルトの犬歯にガブリと容赦なく腕を噛まれた。
柔らかい肉が硬い歯に突き破られる感覚がして、フェイタンはそのままカッとなってその剥き出しの後頭部を殴打して気絶させた。
衝撃を受けたカルトの脳は、身体に信号を送れなくなり停止し、その意識は闇に落ちた。
失った意識がすぐに回復しないところをみる限り、どうやら気絶ならばそれなりに回復に時間がかかるらしい。
そんなどうでもいい情報を頭の片隅にしまいこむと、それっきり動かなくなったカルトを抱きしめたまま、フェイタンは無意識に溜息をついた。
















――― パクノダが彼女に何を言ったのかはフェイタンには分からない。













けれど、パクノダの言葉がカルトを怒らせたのは確かだった。
が、壁越しに聞こえたパクノダの声は優しく穏やかで、少なくともパクノダが故意にカルトの反感を買うようなことをしたとは到底思えなかった。けれど、カルトは怒っていた。パクノダの言葉に。




しかし、何に怒ったのかは、フェイタンにはまるで分からない。











でもそれは多分、パクノダがカルトに何を言ったのか分からないから、ではない。
おそらく、パクノダとの会話を聞いていたとしても、フェイタンにはカルトが何に怒ったのかは分からなかっただろう。

そう、そもそも。それは当然だ。それが前提条件だ。

何故なら、死ぬことが日常茶飯事だった少女と、死は隣り合わせだと知っている男とでは、どう考えても必然的に、既に持っている価値観が違いすぎる。もしかしたら生命としての次元すら違うのかもしれない以上、物事一つに対する認識も食い違うほどに違いすぎていて当然だった。


















それは最初から分かりきっていたことだった。





















カルトの想いを考えを、想像しようにも想像できない。分からない。理解できない。

けれどフェイタンは別に、カルトと分かり合えないのが辛いとは思わない。
そもそもフェイタンも普通とは言い難いし、不老不死であるカルトは完全に異常な存在だ。
そんな二人が分かりあうだなんて出来るはずもなく、噛みあわないのはむしろ当然のことだった。





















それでも、腕の中の、見慣れているはずの血まみれの人肉の塊は、何故かひどく痛ましく思えた。



























カルトの傷が治っていく。にじみ出ていた血は止まり、肉と腱は皮膚の中に隠れて見えなくなり、ついには完全に塞がった。
そこには無残な姿をした少女はいない。フェイタンの腕の中に眠るのは、傷一つない白魚の肌を持った少女。











































けれど、いくら血がとまり傷が塞がっても、その閉じた瞳から流れる涙はとまることなく溢れ続け、なかなかとまってくれなかった















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  1. 2014/06/17(火) 22:10:31|
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