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狂乱壊
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今日、僕は彼に会いに行く、彼は相変わらず優しい。

『僕、君』シリーズの続きその⑥

そして始まるフェイタンの計画

















フェイタンの予想外なカミングアウトから一週間、家出してから二週間、当てもなくブラブラしていた僕らだったが、ふいにフェイタンが『~日にここに行け』と言ってきた。
フェイタンがそんなことを言ってくるなんて今までになかったのでちょっと驚いたけれど、特に反発する理由もなかったので僕は言われた通りにフェイタンの指示した場所に向かっていた。



指定場所は、何故か知らないが有名なテーマパークすなわち夢の国だった。

……何で夢の国?と、思いもしたけれど、もしかしたらフェイタンが生前生きたくて行けなかった場所なのかもしれない。あんな外見でも夢の国に行ってみたかったとか言う思いがあったのかと思うとちょっと笑えた。夢の国に行くためてくてくと都市を歩いていると、目の前から歩いてきた人が止まり、道を塞がれた。仕方なく足をとめて斜め上に視線を向けるとニヤニヤした男の人がいた



「よぉお嬢ちゃん。一人かい?」



子供が一人で歩いているからか、まぁこう言う人に会うのは実は初めてじゃない。でもこーゆーの相手にするの面倒なんだよな……逃げとくか……?と、思ってた矢先、そのニマニマ笑う男の後ろから更に声が聞こえた



「おいてめぇ、俺の連れに何か用か」



そう聞こえた聞き覚えのある声、そして、男の後ろにいたのは一ヶ月ぶりに、久しぶり見た顔だった



「あ、フィンクス」

「よぉカルト」



と、コワモテのフィンクスが現れたからか、僕が一人でないことが分かったからか、男はチッと舌打ちしてその場から姿を消しガヤガヤと騒いで行き交いする人混みの中に消えた。その後ろ姿を見送ってから、僕はフィンクスに向き直った



「ありがとうフィンクス。助けてくれて」



僕一人でもどうとでもなったのだけれど、助けてもらった手前一応お礼を言っておいた。アジトでもよく見たジャージ姿のフィンクスは、気にするなとばかりに手を軽く振った



「で、こんなところで何してんだお前?」

「え?えっと、あのね……」



「フェイタンに言われて……」と言うわけにもいかずモゴモゴしていると、フィンクスがこう続けてきた



「待ち合わせにはまだ早くねぇか?」

「へ?」

「へ?ってお前、自分から誘っといて何言ってんだ」



そう言って差し出されたのは夢の国のチケット2枚。これは……えっと……?



「ったく、いきなり連絡寄越したと思ったら、『夢の国に行こう』て言うだけ言って早々に切りやがって……」

「ご、ごめんね?」



いや、全然そんなことした記憶ないんだけど、正直僕が謝る必要ないんだけど、この状況からして確実にやったのはフェイタンだ。素直に謝ったせいか「別にいーけどよぉ」と許してくれるフィンクスを尻目に僕は何故こうなったのか、フェイタンの企みを考えてみる。


(………どういうことなんだろう?)



フィンクスと夢の国に行けってことかな?よく分かんないけど。



て言うか、恋人だったフィンクスと夢の国でデートしたかったのフェイタン?そう言うこと?
……けど、それなら自分が起きてる時にデートするよねぇ……?じゃあ何この展開。どゆこと……?



ウ~ンと考えてみるけど、駄目だ、さっぱり意味が分からない。
でも、仮にも誘ったのは僕(と言うかフェイタン)だし、せっかくフィンクスがわざわざ来てくれてご丁寧にチケットまで買ってくれたんだし。ここで断るわけにもいかない。なので、お言葉に甘えて一緒に夢の国を楽しむことにした。
そうして入った夢の国は凄い活気に満ちていた。楽しげな音楽に夢の国の看板キャラクターにファンシーな制服を着た従業員達。まだ入り口に入っただけだけど、既に心が踊るようだった。きょろきょろと辺りを見渡す。都心部だったはずなのに、そこはもう文字通り夢の国だった。無意識に笑みがこぼれてもっと奥に、色んな所を見ようと歩き出そうとすると、手をパシリと捕まれた。思わず振り返ると、フィンクスが僕の手を掴んでいた



「おいおい来て早々はぐれる気かよ」

「……っはぐれないよ!」

「ほー?今勝手にどっか行こうとしたのはどこのどいつだ?」

「は、初めて来たからよく見ようと思っただけだもん!!」



と、結局その手を繋いだまま一緒に夢の国を回った。夢の国を歩いていると、パレードを見つけて飛んでくる紙吹雪と風船の山。お姫様王子様の格好をした美男美女。絶叫マシーンに乗ったりかわいい夢の国のキャラクターと写真を撮ったり。キャラクターの耳バンドが死ぬほど似合わなくて思わず笑っちゃったりとにかく楽しかった。時間はあっという間に過ぎて、思わず「もう1日終わっちゃった……」と残念そうに呟くと、「全部回れたわけじゃねぇし……明日も遊ぶか……?」と、3日間用のチケットを買い直してくれた。
よかった!これでフェイタンも夢の国で遊べる!
僕が眼に見えて喜んでお礼を言うと、フィンクスは照れ隠しなのかぶっきらぼうに「どうせ暇だし気にすんな」と言ってくれた。
ホテルもフィンクスが上手いこと見つけてくれて、僕らはツインルームの鍵を開けて部屋に入る。夢の国系列のホテルだったから、部屋の中は夢の国仕様になっていて、そのせいかまだ夢の国で遊んだ続きを見ているようだった。全然熱が覚めなくて、興奮しきった頭はまだ眠気を訴えてこなかったので、晩酌をするためにビールを開けるフィンクスに、僕もオレンジジュースで付き合うことにした。今日はどこが楽しかったとか、どの店の何が美味しかったとか、明日はどこに回ろうかとか、そんな他愛のない話をした。しばらく飲み続けて大分酔いが回ったのか、フィンクスの顔が赤くなってろれつもちょっとつたなくなってきていた



「えっと、ホントにありがとねフィンクス。一緒に遊んでくれて」

「だから気にすんなって。俺も初めて来たけど楽しかったし」

「うん。僕も」



そう言って、グピリと更に酒をあおるフィンクスはどこか静かだ。
でも、それは旅団のアジトで飲んでいた時のフィンクスとは違う。
旅団で飲んでいた時は、もっと騒がしく、でも、本当に楽しそうに飲み明かしていたのに。
でも、理由は分かっている。晩酌をしている相手が違うからだ。もしここにいるのが僕じゃなくてフェイタンだったら。きっとフィンクスは心から楽しそうに飲んでいた



「………やっぱりフェイタンがいなくて寂しい?」



静かに酒をあおぐフィンクスが何だか寂しそうに見えて、思わずそう呟いてしまっていた。
慌てて口を塞いでももう遅かった。僅かに飲むのをやめたその一瞬を、その表情が固くなった一瞬を、僕は見逃さなかった



「――― そうだな。」



その声は、震えていなかった。
けれど、なんだかとても悲しく響いたように聞こえて、思わず僕はその大きな手を握った。フィンクスの手は僕が想像していた以上に固くて大きな手だった。その手は僕の手を強く握り返して、無理やり絞り出したような声で言った



「あいつな、小さい頃から無愛想で、言葉も通じねぇしで、すげぇ手のかかる奴だったんだ」

「うん。」

「いやほんとマジで。何考えてるか分かんねぇし、こっちがどれだけ苦労して世話焼いてやってんのかも知らねぇで、ホントに、あいつは昔から自分勝手でよぉ………」

「………うん。」



………なんだか、悲しんでいると言うよりはどこかグチグチと不満をのべつ幕無しに続けるフィンクス。でも、僕も現在そんな感じで振り回されてる側なので何も言い返せなかった





















けれど、








「でもな、ずっと一緒だったんだ」

「………。うん」



そうして、フィンクスは小さい頃の話をし始めた。フェイタンとどんな風に出会って、どんな風に過ごしてきたのか。内容自体は正直、「小さい頃から歪みなかったんだなフェイタン……」みたいな感じだったんだけど、フェイタンと過ごした昔話を話すフィンクスは本当に本当に楽しげで寂しげで、だからこそその話は胸に響いては心にしみ込んでいった



「……大好きだったんだね。フェイタンのこと」

「あぁ。そうだな。あいつがいないと、やっぱしっくりこねぇわ」



本当に辛そうだった。そんな彼を見て、僕はフェイタンが言いそびれているありのままをフィンクスに話してしまおうかと思った。
けど、やはりと思いとどまって閉口する。フィンクスだって辛いのだ。いきなりそんな突拍子も無い事をいう訳にもいかないし、言うとしてもおそらくそれはフェイタン自身が自分でフィンクスに言うべきだ



「……ごめんね」

「何がだよ」

「フェイタンじゃなくて」



きっとこう言う時こそ、僕みたいな子供じゃなくて恋人のフェイタンの支えが必要だと思うのに。
そう思うと、何故か情けなく思えた。だって僕だって、こんな事態になってさえいなければフェイタンの死を引きずって不安定なままだったかもしれない。寂しそうなフィンクスに何もしてあげられない自分が、何も言ってあげられない自分が、不甲斐なかった



「………お前は優しいなぁ」



くしゃりと髪を撫でられる。



「フェイの奴は、そういうのヘッタクソだったからなぁ」

「………そっか」

「あぁ」



どこか、泣きそうにも聞こえる声、けれどその悲しみを振り払うように彼はグピリとお酒を煽る。そして、やはりどこか寂しげに呟く



「会いてぇなぁ」

「………会いたい、ね」













フィンクスに同意するように、そう呟く。



勿論、自分でも変なことを言ってる自覚はあった。

だって実のところ、フェイタンは死んでいない。フェイタンは僕の中で生きている。ボイスレコーダーで会話のやりとりもしている。ずっと一緒にいると言ってもおかしくない。そんな僕が彼に会いたいと言うのはどう考えてもおかしい。でも、今は何故か無性に彼に会いたくなった。

あの姿が見たかった。彼の眼を見て話がしたかった。

以前より、フェイタンとの距離は断然近くなったはずなのに、決して届くことはない。その存在はどこか遠くにも感じられた。

























夜景を見ながら、手を握ったまま、僕とフィンクスはそれっきり話さず、ただ窓の外から見える夜の街を見ていた
















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  1. 2014/07/04(金) 15:02:04|
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