FC2ブログ

狂乱壊
荒らし・迷惑行為・中傷などはおやめください。(それらに準ずるコメント類もこちらの一存にて削除させていただきますのでご了承ください)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。




  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告|
  3. トラックバック(-)|
  4. コメント(-)

暗黒にして残酷な執事と幼い雇い主

執事パロのつづきその⑥












毒に侵されたカルトは、このまま執事の屋敷で一晩泊まる事になったのだと眉なしから聞いた。













チャンスは今しかない。そう思った。

























カルトに宛がわれた部屋に忍び込むと、そこには意外にも誰もいなかった。部屋には一人、茨姫のように眠るカルトがいる。
音を立てないように、ベットに体重をかける。少しベットが沈んだが、それでもカルトが瞳を開くことはない。
その細い首に、手をかける。それでもカルトは眼を開けない。
抵抗はない。後は首にかけた手に力を込めるだけだ。
この首を締めれば、身体に酸素がいかなくなる。そうすれば、心臓が弱り止まる。



そして、そうすればこいつは―――



「………。」



首から手を離す。そして、首から手を離すと眼を閉じたまま口が動いた



「………久しぶりだね。“フェイタン”」



ゆっくりと、長い睫毛の下に隠れていた瞳が覗く。懐かしい、月の光に照らされたその姿はまさしく天使、月の女神と言われても疑わないくらいの美しさだった
いましがた首を絞められそうになって、殺されそうになっていたと知りながら、それでもカルトは落ち着いたものだった。けれど、まだ体調はすぐれないのだろう。上半身を起こしはしたけれど、その動きはどこかぎこちない。
おそらく、このカルトを殺すのは簡単だ。殺すなら今だ



「………お前、毒飲んで死にかけたそうね」

「うん」

「そのまま死ねばよかたのに」

「随分だなぁ」



執事と主人としては、あまりにその会話は無礼で不相応だったろう。けれど、私は全く罪悪感など持たなかったし、カルトもクスクスと笑っただけだった。あれだけ話したいと会いたいと思っていた相手。それをいざ眼の前にして、私は何を話せばいいのか迷っていた。何から話せば私の気持ちは収まるのか、何を言いたかったのか、どう言えばカルトを傷つける事が出来るか。そんなことを考えていた。
白い肌だ。月明かりに照らされていても、それでも日の光に当てようがその白さは恐らく変わらない。流星街に居た時は思いもしなかったが、こうして見るとカルトは年の割には不健康と思えるほど痩せていて華奢だった。
どう見ても、暗殺者に狙われそうには見えても、暗殺者そのものには見えない。

カルトにと、宛がわれた部屋を一瞥する。カルトに宛がわれた部屋はおそらく、万が一ゾルディック家本家の人間が宿泊する事を想定して作られた部屋なのだろう。他の部屋にも増して、他の部屋と比べて、酷くその部屋は豪奢で美しく広かった。途方もなく。
広い庭、番犬と言う名の猛獣。何百もの使用人。執事の屋敷ですらこの有り様だ。本邸はこれ以上の豪邸だろう。おそらく、調度品の一つ一つが、私みたいな生まれのものには一生かかっても買えないくらいの品なのだろう。恵まれて、恵まれて、恵まれすぎているほど恵まれている。
しかし、その過度とすら過剰とすら異常とすら言える裕福さと潤沢を不気味に疑問に思っていたのも事実だ。こんな世知辛い世の中でこれほどのバカでかい私有地を維持出来ているのだ。その裏が暗殺家業故と言われれば納得もいく。



そして、あの時。

カルトに初めて会った時、カルトから取り上げた食物に、毒が仕込まれていた理由も。


あの食物に、カルトは毒が入っていたことを知っていた。そして、それを知りながら毒物の混入していた食べ物を食べようとしていた。あまりにも躊躇なく。
――― あの毒の独特の苦みも、おそらくカルトには慣れ親しんだものなのだろう。そうでなければ、あんな自然に毒物と知りながら口に含む事なんて出来ない。
そう思うと、あぁこの小娘は本当に暗殺者なのだと、暗殺者として育てられているのだと納得した。




けれど、そんなこと私にとってはどうでもいい。




例え暗殺者だろうが家が暗殺一家だろうがなんだろうが、私がこの小娘が気に食わないのは変わらないのだから。
親の教育方針の所為で毒で死にかけたくらい何だと言うのだ。私が一人流星街で病気になった時は吐いて震えを押さえて丸くなって眠り、そうやって死にかけながらも自力で治してきた。けれど、今眼の前にいる子供はそんな過去の自分と同じ状況でも待遇は全く異なる。苦しんでいれば周りに心配してもらえて薬ももらえて助けてもらえる。そんな贅沢な事されたことがない。こいつとは違う。
むしろ、この小娘の立場は癪に障る。
流星街にいたあの頃、腐っていようが泥まみれだろうが食べられるなら何でも口に入れた。質も量も構ってなどいられなかった。なのに、私はそんな眼にあっていたのに、こいつは安全なものを食べられる立場にいるくせにわざわざ食べても安全な食物に毒を盛って毒の耐性をつける?
傲慢だ。金持ちの道楽だ。
恵まれているくせに生い立ちが不幸みたいな真似事をしているそれは、二重の意味で馬鹿にされている気がした。
世界には食べて眠るだけでも事欠いている奴らが大勢いるのに、自分の様なドブ鼠の上に乗っかり胡座をかき、食べて眠ることにも贅沢に贅沢を重ねて暇を持て余している奴が眼の前に居る。それが弱肉強食だとは分かっていても、幼い頃から知って諦めていたけれど、だからといって眼の前でわざわざそれを見せつけられて納得は出来ない。何故、こいつはこんなに恵まれているのに、何故私は。
そして、何より不愉快なのは、そんな恵まれた小娘に私が、私に課せられた全てが、この私に与えられた環境ですら全てこの小娘の為であることだった。
逆恨みだった。
そんなの分かり切っていた。
けれど、この世の不条理を理不尽を、不平等を呪ったところで、何も変わりはしないのだと知っていても、呪わずにはいられない。人は、人ゆえに。
結果、私の口から出たのは、疑問ではなく不満だった。まるで自分の不幸が全てカルトのせいであるかのようにさえ思えて許せなかった。許すも何も、そんなわけはないのに



「お前のせいで、私の人生は歪んだね。お前なんかに、拾われたくなかた」

「そうしたら、君は死んでたね」



私の言い分に戸惑うでもなく、脅えるでもなく、まるで穏やかにさえ聞こえる声色でそう正論を返される。
そしてその正論は正論であるが故に、私はすぐには言い返せない。
分かってた。あの時カルトに拾われなければ自分は遅かれ早かれ死んでいただろう。救われたのだから、感謝しなければいけない。恩を感じなければいけない。確かにそれが筋なのかもしれない。
けれど、そんなこと言われなくても分かりきっていた。
あの流星街に居た時、ただのドブ鼠でしかなかった私は、自分の人生が遠からず終わるのだと悟っていた。生死のギリギリを一人で生きる毎日は辛いことしかなかった。けれど、どれだけ辛くてもそれに耐えて耐えて耐え抜いて、どれだけ他人の生き血をすすってきたか分からないほど必死に生きてきた。けど、その努力が報われないことも分かっていた。どれだけ足掻こうが、死と言う一瞬が来てしまえば全て終わってしまうのだと、全て無意味に無価値に、台無しになったしまうのだと。知っていた。身に染みるほど。





けど、それは。







それでも













「――― 私が今まで生きてきたのは、お前なんかに仕える為じゃない……っ!!」






そう。そんな終わりはごめんだった。



避けようの無い死なら抗わずに諦めた。けれど、こんな何でも持っている裕福な小娘に自分が唯一持っている自分の一生を奪われるなどどうしても納得出来なかった。唯一自由に出来て唯一持っている自分を、何故こんなやつに浪費しなければならない?



「………私は、お前に仕える気はないね」



許せなかった。屈せなかった。流星街に居た頃は自分に与えられた運命を受け入れて生きていたはずだったのに、この小娘に書き換えられた運命はどうしても受け入れられない。



「でも、君が生きていくにはここにいるしかない」



けれど、どれだけ私が現実から眼を背けようと、現実は変わらない。カルトの言葉こそ、恐らくこの場所の掟で現実で、事実なのだろう。カルトの声は決して大きくはないのに、その言葉に厳しい現実を突きつけられた気がした



「ゾルディック家の執事は死ぬまでここで働くのが原則だ。破れば死刑だよ。執事はゾルディック家の情報を知りすぎているから。逃げ出そうものならまず間違いなく死刑だ」



カルトのそれは決して誇張でも大げさでもない。それはただの真実でしかないから。私が逃げればカルトの言う通り、私はゾルディック家に属するものに殺される。恐らく逃げた私を追ってくるとすればカルト直属の執事達だ。マチも、シャルナークも、数人、又はこの屋敷に住む執事全員で。立場上同じ身の上身内だった私の尻拭い……否、後始末にやってくる。他の奴らなら、どうとでもなるかもしれない。けれど、クロロはマズい。クロロを含める全執事で来られたら多分勝てない。



カルトを殺してもカルトの所為で死ななけばいけない。
カルトを殺さなければカルトの為に死ななければいけない。
善し悪しなど無い。どちらも差が無い。私の運命はカルトの手のひらの上にある



「とんでもないところに連れてきてくれたね………」

「残念だったね」



唸るようにそう言っても、ちっとも脅えるでも残念そうでも哀れむでも、ましてや謝る風でもなくカルトがそう言う。
恨みさえ込めている私に対し、あまりに冷静な対応をするから、まるで挑発されている風にさえ聞こえる。それに乗せられまいと、私は熱くなっている頭を落ち着かせるために、一度深呼吸をしてから再度口を開いた。そして、本来最初に聞くつもりだった疑問を口にする



「なんで、お前は私をここに連れてきた?」

「流星街で君に背後を取られてご飯も盗られた。その能力を買った。とでも言おうか」

「私を執事にして、お前に何の得があるね」

「得はないかもしれないね。僕の執事たちはみんな優秀だから」

「不自由はしていない」と言うその言葉にイラッとする。そして、更になんでもないことを聞くかのようにこう尋ねてきた。

カルトに向けられた最初の質問。


その質問は、今まで向けられた言葉の中で一番不愉快だった。











「――― フェイタン、君は僕の為に死ねるかい?」


「あ゛ぁ?」







――― 喧嘩を売ってるなら倍の額で買ってやろうと思った。


まるで試すようにも聞こえ、まるで窺うようなその眼を睨みつける。ドスをきかせたつもりなのに、カルトはどこか、そんな私に満足そうで、それどころかやわい笑みまで浮かべていた。そして、カルトはそのまま質問を続けた



「“フェイタン”って名前には、もう慣れた?」

「………。」



まるでクロロのような優しい声色。落ち着いた声。なのに、クロロとは違い、カルトのその言葉には意図が分からず戸惑いしか湧かない



「どう?“フェイタン”って名前は」

「………無いよりはまぁ、便利ね」

「ここでの衣食住に、不満はない?」

「………。」



確かに、当初食べ物がまとも過ぎて胃が受け付けなかったけれど今はそんなことない。寝床も寒くないし暑くもない。熟睡できるし眠くはない。服も今までに無いくらい上質だ。そう言えば、食べ物の心配も、寝床の心配もここに来てから一度もしてない気がする。毎日案じていた食べ物の心配も寝床の心配もしなくなったのはいつからだろう。十分な衣食住を与えられた為盗みを働く必要もなく忍び込む必要もなく、全て当然のように私に与えられる。習慣化され、手に入る幸運が贅沢ではなく当然と変化した日々。



「………別に」

「そう。」



そう言って、嬉しそうにすら見える微笑みを浮かべる子供に、あれほどあったはずの不満は萎えるようにしぼんでいって、私はそれ以上何も言えなかった。














そうして結局、カルトを殺すことなく私は自分に宛がわれた寝室へと戻った。

あとから冷えた頭で思い返してみて結構なことを言ったと思ったけれど、カルトは最後まで機嫌を損ねることなく笑っていた





















――― それはまるで大事なものを大切に扱うようだったと、されたこともない私には分からなかった


















*************************



腐っているフェイタン。カルトちゃんうんぬんと言うよりは金持ちでありフェイタン一人の運命くらい簡単にどうとでもねじ曲げれるくらいには恵まれている辺りに腹立っている


正直、流星街からゾルディック家言ったら生活環境全然違うから慣れるの大変そう。ご飯も栄養価高すぎて胃が受け付けないだろうし、寝床はフカフカで暖かくて寝心地違いすぎるだろうし着るものも豪華過ぎて着ても落ち着かなくて大変そう。そう思うとキキョウさんすげぇな。
あと、キキョウさんの怒鳴り声毎日聞いてたら他の人にちょっとやそっと怒鳴られてもビクともしなさそう







スポンサーサイト


  1. 2014/10/25(土) 12:27:19|
  2. H×H|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0

  

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://destroy69.blog43.fc2.com/tb.php/616-dc9473df
 

  

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。