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狂乱壊
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運命を狂わすような恋を、女は忘れられる 8

パクノダ視点






















家に帰ったカルトは、そのままゾルディック家に謹慎されたと聞いた。

ゾルディック家に、匿われ、守られていると聞いた。








『誰から』なんて、言うまでもないだろう


































そんな話を聞いて、しばらくした頃だった



「記憶を消してください」



久しぶりに会ったカルトは開口一番そう言った。
そもそもの諸悪の根元とも言える私に、そう言って頭を下げた。























ゾルディック家に帰ったカルトがどうなったのかは、詳しくは知らなかった。
私が知っていたのは、家に帰って間もなく、カルトが旅団から正式に除隊したと団長から聞いたくらいだ。
以降、私はカルトの姿はおろか声さえ聴かなかった。
けれど、今私の眼の前にはカルトがいる。
ゾルディック家の包囲網をかいくぐってここまで一人で来れた事は純粋に褒めてやりたかったが、当然そんな雰囲気ではなかった。
少し、痩せてついでに顔色も悪い。切羽詰まったような顔をしたカルトの眼には以前のような光などなかった。憔悴していながらも、今にも土下座せんとばかりに私にただそれだけを切実に訴える。
そんなカルトが意外で、私は眼をまたたかせた。
だって、カルトに恨まれる理由ならあるけれど、カルトにそんなことを頼まれる理由などなかったからだ。
だってそうだろう。私がフェイタンに手を貸さなければ、カルトが記憶を失いフェイタンに攫われることもなかった。
フェイタンを過剰に危険視したゾルディック家で、カルトが幽閉にも近い形で脅えて暮らすこともなかったのに。
なのに、私を罵倒するどころか頭を下げて必死な様子でカルトは言った



「僕から、フェイタンの記憶を消してください」



そんなカルトの言葉に、私はさてどう切り出して彼女を傷つけないように説明するか言葉を選び始めた。
『記憶を消してほしい』と彼女は言うが、実際はそんな簡単なものでもいいものでもない。けれどカルトは知らないのだ。私の能力を、ただ漠然と『記憶を探り、それを操作する能力』だと認識し誤解している。だが、そう誰も彼もに自分の能力をバラす訳にもいかない。なので、カルトには悪いが、記憶を消すことを諦めてもらう様上手く説得するしかなかった



「ねぇカルト、忘れる必要なんかないじゃない。確かに、怖い目にあったかもしれないけど」



カルトが何故「フェイタンの記憶を消したい」と言ったのか。それはおそらく、フェイタンに記憶を消され監禁すると言う暴挙に出られたからだろう。監禁されていた間、どんな生活を強いられていたのか知らないが、フェイタンを恐れていると言うことはろくな眼に合わなかったのだろう。そう思った。
だが、暗に私に断わられたと察したのだろう。ショックからなのか、余程切羽詰まっているのか、カルトが更に顔色を悪くした



「………怖い事なんか、何もなかった」



ポツリと、そう呟く



「幸せだった。本当に、楽しかった」

「………。」



幸せだったと、そう呟くカルトの言葉は真実なのかどうかは分からない。けれど、その姿は可哀想なくらい哀れに映った



「フェイタンを恨んだりなんかしてない。恨むわけない。そんなはずない」

「………。」

「フェイタンは僕を騙してたって、兄さんは言った。けど、悪いのはフェイタンじゃない。悪いのは、フェイタンを裏切った僕だ」



そう言うカルトの顔を見れば分かる。それは、後悔だ。カルトにとってのただの事実だ。耐えるように握りしめるその手は、震えていた



「でも、僕は家の為に……兄さんの為に生きないといけない」



ゾルディック家の為に。

そう、カルトは繰り返す。



端から見れば異常なまでの決意だとすら思うけれど仕方がない。
だってそれまで、それだけの為に、生きていたのだ。
自分の為に生きる事など、最初から考えていないのだ。
自分の幸せは、ゾルディック家に尽くしてこそ在るのだと、そう躾けられている。
そう、それが自分の幸せなのだと、信じ込まされている。
家の事情などさして知らない私ですら、そう理解するほどカルトは鬼気迫っていた



「生きないといけない。兄さんの為に。なのに―――」



グッと押し黙る。まるで、決意が揺らぐことが裏切りだとでも言わんばかりだった。
凝り固まったその価値観を概念を、そう簡単に取り除く事など出来ない







「そのためには、フェイタンの事を忘れないといけない……のに……っっ」















そうして次にカルトが言った言葉は、罪悪感に満ちていた。

けれど、その言葉は何一つ悪くなかった。


























































「――― どうしても、フェイタンと幸せになりたい」










その言葉は、辛そうな顔をして言うセリフではない。
けれど、まるで懺悔にすら感じる表情を浮かべて、カルトは訴える



「フェイタンは、『どうして』って言ってくれた。それが、罪悪感しか感じない。どうしても頭から離れない。あんなに彼は、僕を想って、泣いてくれて、どうしても僕は、彼を嫌いになれなくて、選べなくて」
















(恋は、美しいものだと思っていた。 のに)





























「こんなにつらい、なんて思わなかった」


























戻りたいとカルトは言った。恋など知らなかった頃に戻りたいと。
フェイタンではなく家を選んだことを後悔するなど。それこそまさに、カルトのアイデンティティーの崩壊に等しかった








「だから、フェイタンの記憶を消してください」


















(―――………あぁこれは。)



それは、頭を下げてそう乞うカルトのその発言はまさしく、フェイタンの完敗でフェイタンの完全勝利だった。
こう言うのを、なんと言っただろうか。確かピッタリの諺があった気がするとパクノダは頭をひねった
































(そう、確か)

























































『戦に負けて勝負に勝つ』?











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  1. 2014/12/26(金) 21:10:17|
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